国立公園や温泉地の旅館・ホテルへの補助事業継続と拡充
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)青年部(鈴木治彦部長=岡山県・奥津荘)は8月28日、小泉進次郎環境相に、旅先などで仕事をするワーケーションに関する要望を行った。環境省が進めるワーケーションを受け入れる国立公園や温泉地の宿泊施設などへの補助事業について、次年度以降の継続と拡充を求める要望書を提出。小泉環境相は「さまざまな省庁と連携して、政府全体で取り組みたい」と前向きな姿勢を示した。
環境省はコロナ禍での国立・国定公園への誘客促進や、Wi―Fi整備、スペース改装など宿泊施設やキャンプ場がワーケーションを受け入れるための環境整備に補助金を出す事業を行っている。令和2年度補正予算で実施。5月19日から6月10日まで、国立・国定公園や国民保養温泉地に所在する旅館・ホテル事業者ほか、DMO、地域協議会などを対象に公募したところ、全体で501件、ワーケーション関連で271件が採択された。
全旅連青年部の鈴木部長は、環境省のこれら事業の実施に謝意を述べるとともに、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、資金繰りが厳しい旅館・ホテルが数多くある現状を指摘し、事業の次年度以降の継続と予算や支援対象施設の拡大を求めた。
要望書ではこのほか、ワーケーションを迅速に普及させるための政府と全旅連との連携強化、国民保養温泉地の認知度向上と利用促進、ワーケーションに関する相談窓口の環境省内への設置を求めている。
小泉環境相は、「ワーケーション自治体協議会」の発足など、全国でワーケーション推進の機運が高まっている現状を述べ、「政府全体でワーケーションの推進に取り組まなければならない」と指摘。「皆さん(旅館・ホテル)の需要が増えて、コロナからの復興につながれば」と宿泊業界にエールを送った。観光地など、自宅と実家以外でもテレワークが行えるよう、就業規則を変更した環境省の取り組みも紹介した。
全旅連青年部は全国約1万5千軒の全旅連加盟施設にワーケーションの受け入れを呼び掛ける考えだ。
本紙などの取材に鈴木部長は「政府が進めるワーケーションの取り組みに、業界団体として全面的に協力したい。政府や自治体とともに新しい温泉地、観光地づくりを進めたい」と述べた。
同行した武井俊輔衆院議員は「ポストコロナ、ウィズコロナの時代といわれる中で、密を避けるワーケーションは時代のニーズに合い、宿泊業界が取り組むことは社会的に意義がある」と強調した。
要望書を手にする小泉環境相(左から3番目)、鈴木部長(右から3番目)、武井衆院議員(同2番目)ら=環境省大臣室で