全旅連・旅館協会、トリップドットコム「空売り問題」でシートリップに情報開示・改善を要求 上海本社から副総裁来日、謝罪


観光庁は再発防止を指導

 中国のオンライン旅行会社(OTA)、シートリップが運営する日本向けの旅行予約サイト「Trip.com」(トリップドットコム)の「空売り」問題で、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)青年部と日本旅館協会は12月18日、シートリップとの会合を東京都内で開き、事実関係や改善策について説明を求めた。観光庁も同社関係者を12月11日に呼び、消費者保護の観点から宿泊予約を巡るトラブルの再発防止を指導した。

 同サイトには、宿泊施設から直接仕入れた宿泊プラン以外に、中間の販売業者が仕入れた宿泊プランが掲載される。問題となったのは、販売業者による「リクエスト予約」という販売手法に関してで、シートリップでは「一部の悪質な販売業者によるもの」と説明している。

 リクエスト予約は旅行者の希望に応じて預り金を受け、他の予約客のキャンセルなどで空き室を確保できた場合に販売する仕組みだが、問題のケースでは、宿泊施設は満室なのに「残り1室」などと表示され、通常より高額な料金で予約が受け付けられ、旅行者に予約確定を伝えた後も、部屋が確保されていないなどの事態が発覚した。

 シートリップの社内調査によると、12月4日時点で、旅行者に予約確定を伝えたものの部屋の確保が確認できない事案が403件に上った。販売業者10社を経由した2018年12月~19年3月に宿泊予定の予約分で、問題発覚後の12月12日までに366件の部屋の確保を確認したが、残り37件は部屋が確保されず、予約者に対して代替案や賠償案を提示したという。

 宿泊業団体との12月18日の会合には、中国・上海から来日したシートリップの姚金平副総裁・海外法務最高責任者をはじめ、同グループの蘇俊達日本代表らが出席。姚副総裁は「お客さま、宿泊施設の皆さまにご迷惑をおかけして申し訳ない。日本は重要なマーケットであり、こうしたことが今後起こらないようにしたい」と述べた。

 全旅連青年部の西村総一郎部長は「消費者の保護、宿泊施設の信用に関わる問題。納得いくよう全容を説明してもらいたい」と訴え、消費者への契約内容の周知徹底のほか、宿泊施設が宿泊予約における介在を把握できない中間の販売業者の問題をはじめ、宿泊施設に対するシステムの情報開示、改善などを求めた。

 一方、観光庁は、12月4日のシートリップ・ジャパンへの立ち入り検査に続き、同11日にシートリップ関係者を観光庁に呼び、消費者保護の観点から事実関係の説明を求めた。観光庁の田端浩長官は同19日の専門紙向け会見で、「予約のコンファーム(確認)や宿泊先の確保がしっかりしていないということなので、当該OTAを呼んで再発防止を求めた。消費者の信用を損なわないよう厳しく指導している」と説明した。

 シートリップは、トリップドットコムのリクエスト予約の取り扱いを12月4日に停止。問題が疑われる販売業者との取引を停止し、販売業者の管理を厳格化したという。キャンセル料に関しては不適切、不明確な説明をチェックし、キャンセルポリシーの正確な表示に取り組む。高額な料金設定に対しても価格管理システムの改善を検討する姿勢を示している。

 

 
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