全国旅館生活衛生同業組合連合会(全旅連)のシルバースター部会(野澤幸司部会長=新潟県・ホテル小柳)は2日、東京の都道府県会館で21年度総代会を開き、インターネットを活用した集客事業の推進や、1千軒を目標とした登録施設の拡大を図るとした今年度事業計画を承認した。2年間の任期満了に伴う役員改選では野澤部会長を再選した。
シルバースター部会は、高齢者や障害者などの利用に配慮した「人に優しい宿」の普及を目指す組織。ハード、ソフト両面で一定の条件をクリアした宿を「シルバースター登録施設」に認定している。同日現在の登録施設は943軒。かつて1千軒を突破したが、施設の廃業などで再び1千軒を割り込んでいる。
部会では当面の登録目標を1千軒に置き、47の都道府県旅館組合ごとに目標値を設定するなどして、大台の再突破を目指す。
また登録施設へのメリットとして、施設への集客事業を推進する。今年6月には楽天トラベルが「人に優しい宿」の特集ページを開設。同社と連携して施設への誘客を図る。このほかインターネット情報地図サービス「マピオン」を活用した集客事業や、一般消費者対象のキャンペーン事業も引き続き進める。キャンペーンは現在、還暦など記念日を迎えた人を宿泊招待する家族旅行誘発のキャンペーンを行っている。
野澤部会長は、旅館・ホテルの食中毒対応マニュアルの作成、19年度に作成した厨房や浴室の事故防止管理マニュアルの理解度を測る検定サイトのオープンなど、昨年度の関連事業を振り返るとともに、「シルバースター登録施設が全旅連1万8千軒の先駆けとなるよう、集客事業と有益情報の発信を今後も進める」とあいさつ。
また、この秋にも第2波が予想される新型インフルエンザへの対策も、全旅連の新型インフルエンザ対策本部に参画して万全を期す構えを示した。
議事終了後は研修会を行い、プラスチック製家庭日用品で「ご飯のこびりつかないマジックしゃもじ」などヒット商品を開発した曙産業(新潟県燕市)の大山治郎会長が「私の経営哲学」と題して講演した。
続投が決まった野澤部会長。施設事故防止管理マニュアルの積極的活用を訴えた