全旅連、3つの成長分野に注力


「力を合わせて難局を乗り切ろう」と佐藤会長(檀上中央)

「力を合わせて難局を乗り切ろう」と佐藤会長(檀上中央)

 全国旅館生活衛生同業組合連合会(全旅連、佐藤信幸会長=山形県・日本の宿古窯)は8日、岐阜県岐阜市の岐阜グランドホテルで第88回全国大会を開いた。全国の組合員約1100人が参加。佐藤会長はあいさつの中で、昨年暮れに政府が打ち出した新成長戦略にふれ、同戦略で成長分野と位置付ける6つの分野のうち、「環境」「健康」「観光」の3つにかかわる事業に注力する考えを示し、組合員に協力を求めた。

 環境では、「CO2削減に積極的に取り組む」として、CO2の排出量を抑える電気自動車(EV)の普及に努める。今年2月1日に日産自動車とEVの充電インフラ整備に関する覚書を締結。全国の旅館・ホテルにEV充電用の設備を導入するよう呼びかけていく。佐藤会長は「EVの長所は環境に優しいところ。だが、ガソリン車のようにいつでも簡単に燃料の補給ができない。EVの普及は、充電インフラが全国に整備されるかどうかにかかっている。ご協力をお願いしたい」と述べた。

 健康の分野では、高齢者などすべての人に優しい宿の普及を目指す全旅連のシルバースター登録制度のさらなる充実をはじめ、「あらゆる面で高齢者の方々が元気で、長寿社会を謳歌する社会の実現を推進する」とした。

 観光分野ではインバウンドへの取り組みを挙げ、今年7月に実施される中国人個人観光客へのビザ発給要件緩和政策に言及。「これにより中国人の旅行客は飛躍的に増えると予想されるが、これまでの外客受け入れ施設だけでは不足すると思う。全旅連としても政府の方針に則り、皆さまの施設が外国人観光客を受け入れられるよう努める」と述べた。

 佐藤会長は最後に「わが旅館・ホテル業界は創業100年以上の企業が最も多い業界であり、時代時代の苦難に耐え、変化に対応し、生き残ってきた。21世紀は平和産業である観光の時代。先人に学び、この難局を力を合わせて乗り切ろう」と呼びかけた。

 大会では、開催県の岐阜県から、岐阜県旅館ホテル生活衛生同業組合の瀧多賀男理事長が参加者へ歓迎のあいさつ。来賓から、岐阜県の古田肇知事、岐阜市の成原嘉彦副市長、自民党観光産業振興議員連盟の細田博之会長、所管の厚生労働省があいさつした。

 すべての人が安心、快適に楽しめる社会環境作りに貢献した旅館や地域組合に贈る「第13回人に優しい地域の宿づくり賞」を表彰。厚生労働大臣賞の佐賀県旅館生活衛生同業組合青年部、全旅連会長賞のひだホテルプラザ(岐阜県)をそれぞれ表彰したほか、観光経済新聞社社長賞に決まった四万温泉協会に江口恒明本社社長から表彰状と賞金を授与した。

 このあと「経営の安定と活性化に努める」などとする大会宣言と、「旅館の再生促進」など12項目からなる決議文を採択。会場全体の万歳三唱で大会を締めた。

 懇親会には民主党など連立与党の観光振興議員連盟の川内博史会長がかけつけ、旅館・ホテル業界を激励するあいさつを述べた。

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