
斉藤鉄夫国交相(12日の会見)
政府による新たな観光需要喚起策「全国旅行支援」は、7月前半に開始する予定だったが、新型コロナウイルスの感染状況の悪化を受けて延期が決まった。観光庁が14日午前に発表した。実施時期は未定で、今後の感染状況を見極めて判断する。一方で、都道府県ごとに実施されている現行の「県民割(ブロック割)」事業は、割引適用の期限が7月14日宿泊分までだったが、8月31日宿泊分まで延長することが決まった。
全国旅行支援は当初、感染状況が落ち着いていれば、7月前半~8月末の期間に実施する方針が示されていたが、新規感染者数の増加傾向などを受け、厚生労働省の感染症専門家会議(13日)の議論を踏まえて判断することになっていた。
全国旅行支援は、都道府県を実施主体に全国からの誘客が可能。「県民割」の全国版といえるが、割引率は40%、1泊当たりの割引上限額が交通付き旅行商品で8千円、その他が5千円。旅行先の土産物店などで使えるクーポンの付与額は、平日が3千円、休日が千円となる。地域ごとの感染状況に対し、都道府県の判断で事業を開始、停止できる規定を盛り込む。
全国規模の観光需要喚起策のスタートに観光業界の期待は大きかったが、夏休みの旅行シーズンを前に延期が決定。斉藤鉄夫国土交通相は12日の会見で、全国旅行支援の延期による観光産業へのマイナスの影響について、「感染状況を総合的に見て、専門家会議に諮りながら態度を決定するということは、国民の皆さまにもご理解いただいていると思う。国民の皆さまの関心も高いので、政府全体でしっかり対応していきたい」と述べた。
斉藤鉄夫国交相(12日の会見)