帝国データバンクによると、今年5月の全国企業倒産(負債1千万円以上の法的整理)は288件と、前年同月比55.6%減の9カ月ぶりのマイナスで、2000年以降最少の件数となった。緊急事態宣言の発令に伴い、弁護士事務所や裁判所の業務縮小で法的整理手続きが滞留したことなどから大幅減少につながったと見られる。負債総額は711億3100万円で、同27.6%減と、3カ月ぶりに減少した。
件数を業種別に見ると、1年ぶりに7業種全て前年同月を下回った。
このうち「旅館、その他宿泊所」は同140.0%増の12件と増加した。
小売業は57.1%減の66件。建設業(65.0%減の36件)、製造業(56.2%減の32件)、卸売業(45.9%減の53件)、不動産業(73.7%減の5件)は、2000年以降で最少の件数。
9の地域別では、四国が前年同月と同数の11件で、他の8地域は前年を下回った。北海道(55.0%減の9件)、東北(54.8%減の14件)、中部(56.4%減の41件)、近畿(69.6%減の52件)は2000年以降で最少の件数。
規模別では、負債5千万円未満の倒産が149件で、全体の51.7%を占め、そのうち小売業(40件)が構成比26.8%と最多。サービス業(38件)が25.5%で続く。
観光関係の大型倒産は、ホテル経営のホテル一萬里(長野県、負債約35億2千万円、破産)、旅館経営のRNコーポレーション(和歌山県、負債約16億3800万円、特別清算)、ホテル経営の国際ホテル(青森県、負債約16億円、破産)、旅館経営のリバーサイドホテル山水(大分県、負債約9億3千万円、破産)が報告されている。