帝国データバンクが4月に行った全国企業対象の景気動向調査によると、同月の全国企業の景気動向指数(景気DI=0〜100、50が判断の分かれ目)は前月比1.2ポイント減の30.4で、2カ月連続で悪化した。東日本大震災の影響で前月からさらに落ち込んだが、内需の下支えもあり、前月の3.8ポイント減より減少幅は小さく、一層の急落には陥らなかった。ただ、業種別では、「旅館・ホテル」が過去最低を記録するなど厳しい状況にある。今後については「緩やかな回復基調を取り戻すとみられる」(同社)としている。
DIを10業界別にみると、農・林・水産と小売の2業界が好転し、ほかの8業界が悪化した。
農・林・水産は前月比0.1ポイント増の32.0。放射能汚染の風評被害もみられるが、底堅い需要に支えられて2カ月ぶりに改善した。
小売は同0.2ポイント増の28.3。生活必需品の需要が底堅く、2カ月ぶりに改善した。
サービスは同0.8ポイント減の29.9。2カ月連続で悪化した。特に「旅館・ホテル」が同5.2ポイント減の10.1と、過去最低を更新した。「飲食店」や「情報サービス」も悪化したが、客足が戻りつつある「娯楽サービス」や、計画停電の混乱から解消された「教育サービス」などは改善した。
地域別では、全10地域が2カ月連続で悪化した。
このうち東北は同0.5ポイント減の23.5。全10地域中で2カ月連続の最下位となった。宮城や岩手は悪化が続いたが、福島は建設や小売で復興へ向けた動きがみられたことで、2カ月ぶりに改善した。
南関東は同0.5ポイント減の31.0。2カ月連続で悪化した。震災の被害が大きい千葉の悪化が目立った。前月は調査開始以降初めて全国値を下回ったが、底堅い内需や計画停電の混乱からの解消で全国水準以上に回復した。
企業の規模別では、大企業が同0.4ポイント減の31.9。中小企業が同1.4ポイント減の30.0。小規模企業が同1.6ポイント減の27.4。すべてが2カ月連続で悪化した。