帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の今年8月分を公表した。同月の景気DI(0〜100、50が判断の分かれ目)は前月比0.2ポイント減の37.7で、2カ月ぶりに悪化した。震災復興需要がみられた東北地方で2カ月ぶりに悪化。製造、小売などの業種も政策効果の弱まりや需要減で悪化した。国内景気について同社は、「内外需とも回復力は弱く、踊り場局面が続くとみられる」としている。
DIを10地域別にみると、東北、九州など8地域で悪化。中国、近畿の2地域で改善した。
東北は前月比0.7ポイント減の44.2。2カ月ぶりに悪化したが、全国10地域中、12カ月連続で1位になるなど、依然、高水準を維持している。復興需要の拡大で建設業(同0.9ポイント増の54.4)が3カ月連続で改善、過去最高を更新した。ただ、10業界中、7業界で悪化するなどバラつきがみられる。
県別では、宮城が同3.2ポイント減、51.3と悪化。ただ、47都道府県で12カ月連続のトップとなった。福島(同0.4ポイント増の46.8)、岩手(同2.0ポイント減の43.6)も高水準が続いている。
九州は同0.6ポイント減の36.0。長雨や、域内で発生した病原性大腸菌O(オー)157の影響などで、2カ月ぶりに悪化した。県別では、福岡、熊本、大分など、8県中5県で悪化した。
中国は同0.4ポイント増の33.9。輸出の回復や新型車の導入で製造業が上向き、4カ月ぶりに改善した。ただ、全国10地域中、2カ月連続で最低水準にある。
10の業界別では、製造、小売など5業界が悪化。農・林・水産、建設など4業界が改善。金融が同水準だった。
製造は同0.5ポイント減の36.5。円高による収益性の悪化、原油高によるコスト上昇などで、2カ月ぶりに悪化した。
小売は同1.0ポイント減の37.3。政策支援効果の弱まりや、消費マインドの伸び悩みで2カ月ぶりに悪化した。
建設は同0.8ポイント増の38.0。復興需要で福島などで大きく改善したが、西日本では回復の遅れが続き、全体として小幅な改善だった。
サービスは同0.1ポイント増の42.1。小幅ながら2カ月連続で改善した。このうち旅館.ホテルは同0.2ポイント減の42.2。3カ月ぶりに悪化した。