帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の6月分を公表した。同月の景気DI(0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.4ポイント減の49.0と、3カ月連続で悪化した。「国内景気は貿易摩擦の拡大で不透明感が強まる中、原油高などを受けてコスト負担が増加したことで弱含んだ」(同社)。業種別では旅館・ホテルが同0.6ポイント減の50.0と、3カ月連続で悪化した。
10の業界別では8業界が悪化。建設と不動産の2業界が改善した。
旅館・ホテルを含めたサービスは同0.1ポイント減の52.0。サービス15業種のうち、娯楽サービス、人材派遣・紹介など8業種が改善。旅館・ホテル、飲食店など7業種が悪化した。
運輸・倉庫は同0.6ポイント減の48.7。燃料価格が高値で推移したほか、ドライバーなど人手不足に伴う人件費負担が重くのしかかった。ただ、東京五輪需要や訪日外国人観光客数の増加、熊本地震の復興需要などが景況感を下支えした。
小売は同0.7ポイント減の41.3。過度な安売り競争の緩和を目的とした改正酒税法の施行から1年経過後も、飲食料品小売で販売低迷が続いている。
10の地域別では、8地域が悪化。北海道、北陸の2地域が改善した。
このうち近畿は同0.4ポイント減の48.4。インバウンド需要が好調に推移したが、大阪府北部地震により外出を控える動きなどが見られ、大阪、京都など4府県で景況感が悪化した。
規模別では、大企業、中小企業、小規模企業の全てが2カ月ぶりに悪化した。
景況感に関する企業の主な声は次の通り。
「国内観光客数に増加がみられる」(現在、良い、信用協同組合・同連合会)。
「当地に入港するクルーズ船のインバウンド旅行客が増えている」(現在、良い、菓子小売)。
「インバウンド需要が継続している」(現在、良い、旅館)。
「耐震補強などの公共工事やバリアフリー工事が多く、受注は堅調」(現在、良い、土木工事)。
「近畿地方で発生した地震が影響している」(現在、悪い、乾物卸売)。
「漁獲量不足とそれに伴う高騰で利益率が低下」(現在、悪い、水産食料品製造)。
「訪日客の増加はしばらく続くと見込んでいる」(先行き、良い、旅行代理店)。
「2020年に完了する予定のプロジェクトが多く、20年に近づくにつれて新規の受注が難しくなる見込み」(先行き、悪い、経営コンサルタント)。