全国の旅館・ホテル経営者、「Go To」へさまざまな思い


キャンペーン開始直後の4連休のさなか、多くの観光客でにぎわう黒部峡谷鉄道(富山県)のトロッコ列車(7月24日)

「直販の仕組みありがたい」「現場の思い反映させて」

 7月22日に始まった「Go Toトラベルキャンペーン」。コロナ禍で苦境にあえぐ全国の旅館・ホテル経営者は効果に期待する一方、運営についてさまざまな思いを吐露する。

 関東のある小規模ホテルは、Go Toトラベルキャンペーンが客足回復の追い風になると大きな期待をかけている。訪日外国人を主に受け入れていた同館は、インバウンドがほぼなくなったことで、4~6月の外国人客の利用がゼロに。日本人客の受け入れにシフトしたが、思うように客足が伸びなかった。

 その中で始まったGo Toトラベルキャンペーン。開始直後の4連休は定員の70%ほどが埋まるなど、キャンペーンの効果もあってか予約が徐々に動き出した。「夏休みもこの調子でいってほしい」。

 修学旅行を多く受け入れる関西の旅館も、キャンペーンに大きな期待を寄せる。「春の予約のほとんどが移動になったほか、自県内に行程移動した学校が出てきてキャンセル続出。売り上げに相当響いている」。キャンペーンでは「一般のお客さまが来ていただけることはありがたい」と、修学旅行が抜けたあとの一般客の来訪を待ち望む。

 関西地方の別の旅館は「Go To抜きで数字の回復は望めない」と言い切る。団体旅行の減少、インバウンドの消失で3月以降の売り上げが大幅に落ち込んだ同館。これらの客層は当分見込めず、今後はキャンペーン客も含め、個人客へターゲットをシフトするという。「人手や手間が増えるが、(売り上げを)少しずつ積み上げるしかない」。

 キャンペーンは東京発着の旅行が除外された。これには賛否両論だ。「感染者数が増加しているので仕方のない判断」「感染者が多く、感染元でもあるため当然の措置」と理解を示す一方、「人口の約10%がキャンペーンを利用できない形となり、正直かなりの痛手」「旅行マインドが上がらないことを危惧する」と今後を不安視する声も多い。「多摩川を境に世田谷区は除外、川崎市は適用。仕方ないかもしれないが、あまり意味がないのでは」と感染拡大の抑制効果を疑問視する声もある。

 「東京からの予約に関して発生している」「一時的だと思うが多発」と、“東京外し”に伴う予約のキャンセルも各地で発生している。

 当初の予定から前倒ししてのキャンペーンの実施には、「キャンペーンをやっていただけることは本当にありがたいが、宿泊業者側、お客さま側それぞれへの説明不足は否めない」「東京都除外ではなく、開始を遅らせて全国一斉のスタートにしてほしかった。せめて一定の収束後、大多数の国民が8割方以上安全・安心を実感できるところでやるべき」と、否定的な意見が少なくない。

 一方で、「より早い段階でのスタート自体は賛成」「難しいところ。8月が飛んでしまうと秋以降、倒産する恐れがあるところが相当増えると思う」と、早期の開始に理解を示す経営者も。

 キャンペーンを推進する国に対しては「旅館やホテルで直接販売できるようにと投げかけたところ、実現してもらいありがたく思っている」「仕組みからどうしても高級な旅館・ホテル等へお客が流れ、われわれのような都市型小旅館では効果が見られない」「物事を決める際には、必ず現場の生の声、働く私たちの思いを反映させていただきたい」「さまざま努力をしていただき感謝している。ただ、受け手側への説明など、準備を整えてから発表などをしていただきたい」と、さまざまな意見や要望が挙がっている。

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