
稲取温泉に受け継がれる雛のつるし飾り
稲取温泉(静岡県東伊豆町)の「雛のつるし飾りまつり」が20日に開幕する。主催は稲取温泉旅館協同組合。地域の伝統的な風習を今に伝えるイベントで17回目を迎える。「文化公園雛の館」などにつるし飾りを展示するほか、新しい試みとして文化公園全体にLEDを点灯するイルミネーションなどを行う。期間は3月31日まで。
稲取温泉の雛のつるし飾りは、桃の節句の風習で、娘の成長を願って祖母や母が端布で作った飾りを竹ヒゴの輪から赤いヒモでつるす。つるす飾りは多様で、サルの飾りには「難が去る」といったようにそれぞれに願い事が込められている。
つるし飾りは、メーン会場の文化公園雛の館、雛の館「むかい庵」のほか、旅館、一般住宅などにも飾られる。飾りの数は、雛の館で約1万2千個、むかい庵で約8500個に上る。町内各地ではつるし飾りの製作体験もできる。
旅館組合の黒田智実副組合長(糀屋旅館)は「今は他の観光地にも飾られているが、稲取の雛のつるし飾りは、江戸時代から大切に受け継がれ、今も庶民の文化として息づいている。新しいイベントも始めるのでぜひお越しいただきたい」と話す。
今年から実施するイベントは、文化公園イルミネーションと素戔嗚神社での雛段飾り。イルミネーションは、桃の節句の関連行事として「プリンセスロード」と名付け、アーチ状にLED約4万7千球を点灯させる。雛段飾りは2月2〜16日に行う。1617年の創立と伝えられる素戔嗚神社の階段に雛人形と雛のつるし飾りを展示する。

稲取温泉に受け継がれる雛のつるし飾り