京都府舞鶴市、「写真展 記憶のふりかえりをふりかえる」開催


 京都府舞鶴市では、「写真展 記憶のふりかえりをふりかえる」を舞鶴引揚記念館で7月19日まで開催している。

昭和20(1945)年の終戦直後から、13年間にわたってシベリア抑留者など約66万人の日本人引揚者を迎え入れてきた“引き揚げのまち”の舞鶴市(市長:多々見良三)は、市直営の舞鶴引揚記念館(館長:山下美晴)で、戦後75年、ユネスコ世界記憶遺産登録5周年を記念した令和2年度 第1回企画展「写真展 記憶のふりかえりをふりかえる」を、令和2(2020)年7月19日(日)まで開催しています。

展示時間は9時~17時まで。期間中の休館日は6月18日(木)と7月16日(木)。企画展は無料、別途入館料がかかります。

舞鶴引揚記念館 企画展「写真展 記憶のふりかえりをふりかえる」のチラシ

本企画展「写真展 記憶のふりかえりをふりかえる」では、舞鶴市が“抑留・引揚体験者から託された使命”として取り組んでいる「引き揚げの史実の継承事業」で発信拠点の役割を担う「舞鶴引揚記念館」を建設する契機となった2つの「引き揚げの記憶を振り返る」事業を中心に、市が所蔵する79点の記録写真をはじめ、抑留体験者から当時の舞鶴市長に送った手紙や、市が主催した記念行事を告知するポスター(現物)を通じて、当時の様子を振り返ります。

昭和45年に行われた「引揚記念公園」竣工と「平和の群像」除幕式の式典の様子
(舞鶴市所蔵)

 

昭和60年に開催した「引揚港“まいづる”を偲ぶ全国の集い」の告知ポスター
(舞鶴引揚記念館所蔵)

「舞鶴引揚記念館」の建設につながる大きなターニングポイントとなった2つの事業とは、昭和45(1970)年3月、苦難の末に舞鶴港に帰国した引揚体験者や親族などの関係者、引揚者を温かく迎えた舞鶴市民などからの多大な支援と協力により、舞鶴引揚援護局跡地を見下ろす丘陵地に開設した「引揚記念公園」の整備事業。もうひとつは、昭和60(1985)年10月、全国の引揚者や関係者が舞鶴に初めて集い、1万1,000人を超える参加者があった市主催の海外引揚40周年の記念行事「引揚港“まいづる”を偲ぶ全国の集い」で、それぞれ戦後25年と40年の節目の年に行われました。

昭和45年の「引揚記念公園」竣工と同時に設置された「平和の群像」に
木村千代子さんが献花する様子(舞鶴市所蔵)

 

昭和60年に開催した「引揚港“まいづる”を偲ぶ全国の集い」で
歌謡曲「岸壁の母」の歌手・菊池章子さんが
モッコクの若木を植樹する様子(舞鶴市所蔵)

企画展会場では、2つのターニングポイントを「引揚記念公園の造成と竣工」(昭和44年10月~昭和45年3月8日)と、「再び“まいづる”へ」(「引揚港“まいづる”を偲ぶ全国の集い」が開催された昭和45年10月7日~10日)として紹介しています。

さらに、昭和33年11月に引き揚げ事業が終了してからの市内の様子を写した「引き揚げ終了後の引揚港」、昭和63(1988)年4月に「舞鶴引揚記念館」が開館してから現在までを「みらいへの新しい一歩」として、75年間にわたる引き揚げの記憶の継承の歩みを4つのコーナーに分けて、当時の写真を展示しています。

 

 

《引き揚げの記憶をふりかえった、その後の舞鶴市》

「引揚港“まいづる”を偲ぶ全国の集い」を通じて、全国のシベリア抑留体験者や引揚体験者の多くから、戦後40年が経って引き揚げや戦争の史実の風化を危惧する声と、次の世代に引き揚げの史実を伝えてほしい、という強い願いが市に寄せられました。

その後、引き揚げやシベリア抑留の史実の継承や平和の尊さの発信拠点となる施設建設の機運が一気に高まり、市は、シベリア抑留・引揚体験者や市民からの多くの支援を受け、引揚記念公園に「舞鶴引揚記念館」を建設し、昭和63(1988)年4月に開館しました。

引揚記念公園に建設された「舞鶴引揚記念館」(平成28年の様子)

 「平和の発信基地」としての役目を担った「舞鶴引揚記念館」は平成6(1994)年に増築、平成9(1997)年には「絵画美術品収蔵庫」を新築し、全国から集まった引き揚げとシベリア抑留に関する資料の保管・展示に努めてきました。

市は、収蔵する資料が世界的に重要な資料として認められることによって、引き揚げの記憶を確実に後世に伝えるために、570点の紙資料をユネスコの「世界記憶遺産」に申請。平成27(2015)年10月に登録されました。

「ユネスコ世界記憶遺産」に登録決定した時の様子(平成27年10月10日)

同年秋、記念館の全面改修と展示リニューアルを行い、平成30(2018)年の春には収蔵絵画を展示する「企画絵画展示室」を増築すると共に、若い世代にシベリア抑留者の厳しい生活環境を理解し、共感を高めてもらうために「抑留生活体験室」を新設しました。

平成30年に新設した「抑留生活体験室」

また、引揚体験者や関係者などによる「引揚を記念する舞鶴・全国友の会」が引き揚げを象徴する施設として、平成6(1994)年5月に全長15m、幅4mの「平(たいら)引揚桟橋」を復元しました。

平成6年に復元した「平引揚桟橋」

現在、舞鶴市は舞鶴引揚記念館を核として、平成27(2015)年に「ユネスコ世界記憶遺産」に登録されたシベリア抑留と引き揚げの関係資料をはじめとする、約16,000点の貴重な資料を管理・保存・活用すると共に、地域学習の一環として地元中学生が同世代の来館者に語り継ぎを行う「語り部活動」など、シベリア抑留と引き揚げの史実と平和の尊さを、戦争を知らない世代に伝え、発信する「引き揚げの史実の継承事業」に取り組んでいます。

さらに、市は「引き揚げの史実の継承」が確実に後世に継承されるよう、引き揚げ第1船が入港した10月7日を「舞鶴引き揚げの日」とする条例を、平成30(2018)年に制定しました。

 

※舞鶴観光の情報は「まいづる観光ネット」を参照してください。

http://www.maizuru-kanko.net/

※状況によって、内容を変更・中止する可能性があります。

予めご了承ください。

 

【舞鶴引揚記念館 企画展の概要】

催事名称

令和2年度第1回企画展

「写真展 記憶のふりかえりをふりかえる」

場 所

舞鶴引揚記念館 企画絵画展示室

所在地:京都府舞鶴市字平1584番地

期 間

令和2(2020)年4月18日(土)~7月19日(日)

※展示期間中の休館日:6月18日(木)、7月16日(木)

※当初の終了日を約1か月延期しました。

時 間

9:00~17:00(最終入館16:30)

入場料

企画展は無料。別途入館料が必要。

[入館料]大人400円、学生(小学生~大学生)150円

※舞鶴市内在住・在学の学生は無料

※各種割引制度あり

展示点数

81点

展示内容

・写真79点(舞鶴市所蔵)

引揚事業が終了した昭和33(1958)年11月から現在に至る

までの引き揚げの記憶を4つのコーナーに分け、当時の写真で

振り返ります。

「引き揚げ終了後の引揚港」(昭和33年11月~昭和44年):6点

「引揚記念公園の造成と竣工」(昭和44年10月~昭和45年3月8日): 32点

「再び“まいづる”へ」(昭和60年10月7日~10日):31点

「みらいへの新しい一歩」(昭和63年4月~平成29年8月):10点

・舞鶴引揚記念館の建設のきっかけとなった抑留体験者からの手紙1点

(舞鶴引揚記念館所蔵)

・「引揚港“まいづる”を偲ぶ全国の集い」のポスター1点

(舞鶴引揚記念館所蔵)

主 催

舞鶴市、舞鶴引揚記念館

備 考

・来館時や館内はマスク着用にご協力ください。

・舞鶴引揚記念館の公式HP上で、スタッフが本企画展の展示内容と

時代背景を解説する「web企画展」(全4回)を掲出しています。

一般の方からの問い合わせ先

舞鶴引揚記念館   電話:0773-68-0836

公式HP:https://m-hikiage-museum.jp

 

 

※参考1:「ユネスコ世界記憶遺産」とは

「世界記憶遺産」は、ユネスコ(国連教育科学文化機関)が実施する事業の一つで、文書や書物、楽譜、絵画、映画などの【記録資料】を対象とし、世界の重要な記録物の保存とアクセスを推進することを目的に、平成4(1992)年から登録が開始されました。審査は2年に1度行われ、これまでに「アンネ・フランクの日記」(オランダ)や「ベートーベンの手書きの楽譜」(ドイツ)など、日本を含む世界で427件(2017年10月現在)が登録されています。

舞鶴市が所蔵する570点のシベリア抑留と引き揚げ関係資料「舞鶴への生還 1945-1956 シベリア抑留等日本人の本国への引き揚げの記録」は、京都・東寺に伝えられた日本中世の古文書「東寺百合文書」(京都府立京都学・歴彩館所蔵)と共に、平成27(2015)年10月10日に登録されました。

「世界記憶遺産」の名称は、平成28(2016)年6月、文部科学省と外務省が英語名の「Memory of the World」を直訳する『世界の記憶』に改称すると発表しました。

舞鶴市では、シベリア抑留と引き揚げ関係資料570点の登録申請(平成26年3月)および決定(平成27年10月)時点では「世界記憶遺産」を使用していた経緯があり、また市民などに浸透していることから、現在も「世界記憶遺産」の名称を使用しています。

 

 

※参考2:舞鶴市の紹介

舞鶴市は、縄文時代から交易の要所として繁栄し、明治34(1901)年の舞鶴鎮守府(海軍の統括機関、初代司令官庁は東郷平八郎)の開庁以来、日本海側で《唯一の軍港都市》として発展してきました。

市内は、明智光秀の盟友で戦国武将の細川幽斎(藤孝)が築いた田辺城の城下町として古い町並みが残る「西地区」。平成28年度の「日本遺産」に認定された海軍ゆかりの赤れんが倉庫群など、明治時代の近代化遺産が数多く残る「東地区」を中心に形成されています。市内沿岸部には海上自衛隊舞鶴地方総監部、第八管区海上保安本部が設置され、「海上自衛隊」と「海上保安庁」の拠点が同一の市に設置されている《全国で唯一》の都市です。

 

また、舞鶴市は戦後13年間にわたり、海外から約66万人の引揚者を迎え入れた「引き揚げのまち」でもあり、平成27(2015)年10月、舞鶴市が所蔵するシベリア抑留と引き揚げに関する資料570点がユネスコの「世界記憶遺産」に登録されました。

旧ソ連時代のウズベキスタン(平成3年独立、現在はウズベキスタン共和国)から70年以上前に舞鶴港に引き揚げてきた日本人抑留者の実直で勤勉な仕事ぶりが「縁」となって、平成29(2017)年11月、「第32回オリンピック競技大会(2020/東京)」におけるウズベキスタン共和国のレスリング競技と柔道競技の事前キャンプを行うホストタウンとなりました。

 

アクセス:

《電車》JR京都駅から山陰本線、舞鶴線でJR西舞鶴駅まで

約1時間40分(特急利用)

《車》京都から京都縦貫自動車道・舞鶴若狭自動車道で

西舞鶴ICまで約100km

《高速バス》京都から直通で約1時間50分。

大阪(梅田)から直通で約2時間10分。

人口:79,549人(令和2年5月1日現在の推計人口)

面積:342.13k㎡(令和2年5月1日現在)

市長:多々見良三(たたみ・りょうぞう)

 
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