名湯・草津温泉にあって、望雲(黒岩裕喜男社長)は歴史ある旅館の一つに数えられる。創業は慶長4(1599)年。十返舎一九の「上州草津温泉道中」で、弥次・喜多が遊山に寄ったのが望雲だ。
湯屋の風情が素晴らしい宿で、露天風呂を含め、四つの湯船に二つの源泉(万代鉱、西の河原)を引いている。時間によって入れ替えているので、肌触りの異なる源泉掛け流しの湯が楽しめるのがうれしい。
肌に柔らかい西の河原源泉が注がれた「西の湯」では東屋風の露天風呂と美しい木組みの内風呂に目を奪われる。殺菌・抗炎症作用に優れた万代鉱源泉を引く「万代の湯」は宿自慢の庭園が眺められ、開放的でいつまでもつかっていたくなる。
「遊山の湯」は二つの源泉の違いが楽しめる。
望雲は温泉街を見おろす高台にある。静けさの中で、温泉でほてった体を冷まし、ゆっくりと過ごしてほしい。
▽群馬県吾妻郡草津町433。TEL0279(88)3251。www.hotelboun.com
万代の湯