事業仕分け、外客誘致は半額削減

  • 2009年12月5日

観光庁の概算要求を議論する「事業仕分け」

観光庁の概算要求を議論する「事業仕分け」

 観光庁の2010年度予算概算要求に対する行政刷新会議の「事業仕分け」が11月26、27日に開かれた。判定結果は、外客誘致を推進する訪日外国人3千万人プログラム第1期事業(要求額189億5千万円)が「半額縮減」、観光圏整備を支援する観光を核とした地域の再生・活性化事業(同32億2千万円)が「8割程度縮減」。判定を行う「仕分け人」(評価者)は観光の重要性には理解を示したが、事業効果や要求額の根拠を疑問視し、予算削減を求めた。予算案は政治折衝などを経て閣議で決定されるが、事業仕分けでは厳しい結果となった。

 観光庁の概算要求のうち事業仕分けの対象となったのは3事業。全国10カ所で休暇制度に関する社会実験を実施する休暇取得・分散化促進実証事業(要求額7千万円)についても「大幅縮減」の判定結果が出た。

 事業仕分けには、仕分け人側に国会議員、民間の有識者。論点などを示す財務省主計局の担当者も同席。27日の作業には、国土交通省の藤本祐司大臣政務官も同席した。事業を説明する観光庁側は本保芳明長官と、対象事業ごとに担当の幹部、課長らが出席した。

訪日外国人3千万人 プログラム第1期事業
 同事業では、ビジット・ジャパン事業の176億8千万円が論点。外客3千万人を目指すプログラムの第1期目標、2013年1500万人の実現に向けてプロモーションの強化を目指す。現地のテレビや雑誌などを通じた広告宣伝に50億円、国際衛星放送などを通じた横断的な宣伝に41億9千万円を計上した。

 仕分け人からは、広告宣伝などのあり方に関して、「テレビ宣伝に巨額の予算を投じる必要性が理解できない」「予算拡充が訪日旅行増加につながるという事業効果について説得力のある説明やデータがない」などの疑問が挙げられた。

 本保長官は「旅行先として日本の認知度は低い。どこで何ができるのかの情報が不十分。競合国並みの予算を投じ、これまでの遅れを取り返す必要がある。事業の効果測定のための予算も計上している」と説明した。

 観光庁は、競合国との宣伝予算規模の比較も資料として示した。これによると、08年の日本が約5億円、これに対し韓国、英国がそれぞれ35億円、オーストラリアが48億円と差が開いている。

 しかし、結論は「半額縮減」。仕分け人13人の判定の内訳は、廃止は0人だったが、予算計上見送り4人、予算縮減9人(半額縮減5人、3割程度縮減1人、その他3人)だった。

 判定結果について、とりまとめ役の津川祥吾衆院議員は、「観光の重要性には異論はないが、(市場動向や事業効果に関する)マーケティングやリサーチの不足は否めない。中身を見直し、積極的な観光政策をとってほしい」と指摘した。

 判定終了後、本保長官は記者の質問に答え、「外客3千万人は国の成長戦略の中で必要とされた目標で判定結果により不要となるようなものではない。大臣と相談し、何ができるか、考えなければならない」と語った。

観光を核とした地域の 再生・活性化事業
 同事業では、観光圏整備法に基づき、複数の市町村で広域連携した観光圏の観光地づくりを支援する観光圏整備事業31億5千万円が評価の対象。補助率を現行の4割から6割に引き上げ、観光案内施設の整備など小規模なハード事業も支援対象に追加するように要求している。

 仕分け人は、「国がかかわらないと、地方自治体は連携できないのか。補助金のための観光圏になっているのでは」「体験メニューの開発など、地方や民間でできる事業が補助対象になっている」などと指摘。

 これに対し本保長官は「成果を出すスピード感をどう考えるか。観光立国の早期実現を目指す中、補助金というインセンティブは必要ではないか」と説明した。

 また、観光圏整備が目的としている2泊3日以上の滞在に「効果があるのか」など事業の実効性に疑問の声も。観光庁側は、「日帰りがいきなり2泊に結びつくわけではない」と成果には時間が必要なことを説明した上で成功事例を紹介。シャトルバスの運行に補助金を交付した結果、宿泊エリアと中心市街地の回遊性が向上し、運行経費の採算性も実証できた事例などを説明した。

 しかし、判定結果は「8割縮減」という結果に。仕分け人13人の判定は、予算縮減7人(半額縮減1人、4割縮減1人、8割縮減4人、相当程度縮減1人)のほか、廃止4人、予算計上見送り2人。結論について津川衆院議員は「観光が大変大事だと敢えて発言した評価者が多い中、観光圏という手法にどれだけの効果があるのか、多くの疑問が提示された」と指摘した。

休暇取得・分散化 促進実証事業
 同事業は政府が提唱する「ワーク・ライフ・バランス」(仕事と生活の調和)を踏まえ、観光などを通じた内需拡大にもつながる家族の余暇活動の創出と時期の分散化を実証するのが目的。地域の協力を得て、親の有給休暇と子どもの学校休業を一致させる試み。

 本保長官は「休暇制度には過去にも産業界や学校、保護者などにさまざまな意見があった。将来的な制度づくりに一歩踏み出すための実証事業だ」と強調し、県や政令市など20数地域が実証事業への協力に前向きであることを説明した。

 判定結果は、「事業のあり方の再検討を」として「大幅縮減」。仕分け人12人の判定は、要求通りも2人いたが、廃止4人、予算計上見送り2人、予算縮減4人(半額縮減2人、3割程度縮減1人、1割縮減1人)という内容だった。

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