国土交通省九州運輸局は、日中外交関係の冷え込みなどで落ち込んでいる中国からの誘客に向け、広東省や上海のメディア、旅行会社を招請して九州観光を紹介するビジット・ジャパン事業を実施する。12月ごろに2事業を行う予定。九州と中国を結ぶ航空路線の再開など、訪日旅行の需要回復の兆しを捉える。
広東省のメディア、旅行会社を対象とした事業では、昨年10月から運休していた中国南方航空の福岡—広州線が10月28日に再開するのに合わせ、九州の観光地に案内する。メディアを通じて情報を発信し、旅行会社にはツアー造成を促す。
上海のメディアを対象とした事業では、ウェブやフリーペーパーを含めて記者を招き、九州観光の魅力を取材してもらう。「訪日の忌避感が払拭されつつある大都市部から九州への旅行需要を喚起する」(九州運輸局)。
中国から日本への旅行者は、1〜8月累計で前年同期比25.7%減の83万9千人。8月の中国市場について日本政府観光局(JNTO)は、「訪日旅行に対する忌避感の緩和で少しずつ回復の兆しを見せている」と分析。特に個人旅行者は回復が進んでいる。
九州運輸局が法務省の出入国管理統計を基に発表した九州への外国人入国者数は、クルーズ上陸を除くと、1〜7月累計が前年同期比18.6%増の74万4千人。このうち中国は4万5千人で全体に占める構成比は5.9%にとどまる。中国発着のクルーズ船の九州への寄港も、昨年は88回に上ったが、今年は8月に再開されるまでは0回だった。