経済産業省はこのほど、優れたIT経営を実現し、他の中小企業がIT経営に取り組む時の参考となる中小企業を表彰する「中小企業IT経営力大賞2012」の受賞企業を発表した。観光関連産業からは、優秀賞に石川・山中温泉で「お花見九兵衛」を営む吉花(石川県加賀市、吉本加代子社長)と宮城・仙台でビジネスホテルを展開する松月産業(宮城県仙台市、田所照章代表取締役)の2件が選ばれた。
応募のあった180件から大賞3件、優秀賞10件、特別賞4件、審査委員会奨励賞6件を選んだ。
優秀賞のうち「全国商工会連合会会長賞」を受賞した吉花は、自社ホームページのアクセス数や予約決定数の計測と結果の検証や、ASP・クラウド型ホテルマネジメントシステムの導入による従業員の多能工化で、個人客をターゲットにしたウェブによる集客型モデルへの転換に成功。過去最高の経常利益を上げ、さらに雇用も拡大したことなどが評価された。
同じく優秀賞の「情報処理推進機構理事長賞」に選ばれた松月産業は、仙台市内で12店舗のビジネスホテルチェーン「ホテルグリーンチェーン」を展開。宿泊情報、顧客情報、売掛情報のデータベース化によるホテル間の情報共有などにより震災時にも円滑に対応。他のビジネスホテルが苦戦する中、ポイントカードの利便性向上や地域の飲食店とのコラボレーションなどにより個人客の売り上げ増加を実現し、利益を確保している点を評価した。