中小企業庁はこのほど、今年4〜6月期の中小企業景況調査の結果を公表した。それによると、同期の全産業の業況判断DI(前期比で好転とする企業割合から悪化とする企業割合を引いた値、季節調整値)はマイナス43.4で、前期(今年1〜3月期)から6.6ポイント改善した。改善は13期ぶり。同庁は今期の業況について「下げ止まりの動きが見られるものの、依然として厳しい状況にある」としている。業種別では、「飲食・宿泊業」が前期から12.4ポイントの大幅な改善となった。
調査は6月1日、全国の中小企業1万8880社に聞き取り方式で行った。回答企業は1万8367社で回答率97.3%。 業況判断DIを業種別にみると、製造業はマイナス44.7で、前期比10.3ポイント改善。非製造業はマイナス43.1で、同5.3ポイント改善した。
非製造業の中では、飲食・宿泊業が前期のマイナス51.5を12.4ポイント上回るマイナス39.1。3期ぶりにマイナス30台に回復した。
飲食・宿泊業を含めたサービス業全体は前期比6.0ポイント改善のマイナス40.7。このほか建設業(前期比3.1ポイント改善のマイナス44.2)、卸売業(同0.5ポイント改善のマイナス46.5)、小売業(同7.1ポイント改善のマイナス44.6)も前期を上回った。
地域別では、全国8地域中、北海道を除く7地域で前期比改善した。都道府県別では、大阪府、北海道、兵庫県で前期比悪化したが、ほかの44都府県で改善した。
来期(今年7〜9月期)の見通しは、全産業で今期比6.2ポイント改善のマイナス37.2。このうち製造業は同12.4ポイント改善のマイナス32.3、非製造業は同4.1ポイント改善のマイナス39.0。非製造業のうち、飲食・宿泊業は同1.8ポイント改善のマイナス37.3。
昨年急激に上昇した原材料・商品仕入れ単価DIは昨年7〜9月期をピークに3期連続で低下。ただ、同時期ほぼ横ばいで推移していた売上単価・客単価DIも4期連続で低下。「需要の低迷を背景に中小企業の業況の回復に影を落としている」(中小企業庁)としている。調査対象企業で主なコメントは次の通り。
「不景気感の上にインフルエンザによる影響で消費者の外出の機会も減り、それが売上高の減少に結びついている。加えて商品単価の下落に歯止めがかからず、固定費の負担増を感じる」(飲食業、滋賀)。
「客単価の低下、客数の減少が顕著であり、低単価の客数は伸びているものの、原価率は上昇傾向にあり、状況は非常に厳しい」(宿泊業、大分)。