中小企業地域資源活用法、観光分野の認定は15件


 経済産業省などはこのほど、地域資源を生かした新商品開発などに取り組む中小企業を支援する地域産業資源活用事業で、全国から153件の事業計画を認定した。今年6月に施行された中小企業地域資源活用促進法に基づく初の認定。地域資源は農林水産物、鉱工業品、観光資源の3類型があり、今回の認定のうち観光資源を活用した計画は15件。観光事業者や温泉旅館組合による観光プログラム開発などの事業が認定を受けている。

 認定を受けた中小企業者は、試作品開発や販路開拓に対する補助金を申請できる。専門家のアドバイスや設備投資減税、政府系金融機関の低利融資、中小企業信用保険法の特例などの支援も受けることができる。資源別にみると、今回は観光資源のほか、農林水産物57件、鉱工業81件が認定されている。

 観光資源を活用した事業では、着地型のプログラムづくりが目立つ。長崎県平戸市では、平戸千里ヶ浜温泉ホテル蘭風、国際観光ホテル旗松亭、平戸海上ホテルをそれぞれ経営する3社が共同で申請した「平戸ATA(エリア・ツーリズム・エージェント)構築事業」が認定を受けた。

 3社では、世界遺産の暫定リストに推薦された「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」などを生かした観光プログラムを開発する。平戸ヒラメなどの水産物も食の魅力として活用。さらにインターネット上に平戸観光を疑似体験でき、旅行計画などを組み立てられる「仮想平戸アイランドツーリズム旅館」を構築する。

 「平戸観光協会が今年8月に第3種旅行業に登録しており、連携してプログラム開発に取り組みたい。課題となっている情報発信にはインターネットを駆使する。観光客を誘致し、さらには滞在日数の拡大につなげていきたい」(ホテル蘭風の田口満社長)。

 温泉を観光資源として活用する事業計画も認定を受けた。福島県いわき市のいわき湯本温泉旅館協同組合(会員30軒)は、「健康と癒しの温泉地創設事業」を進める。温泉による健康づくりをアドバイスできる資格者「バルネオセラピスト(温泉保養士)」を生かし、健康プログラムを開発する。

 バルネオセラピストは、いわき発祥の資格で、日本温泉保養士協会が認定。いわき湯本温泉には、旅館の従業員やボランティアの中に資格者が約40人いる。「バルネオセラピストを中心に、泉質に応じた健康プログラムや新サービスを開発したい。健康と癒しをテーマにリピート滞在型の温泉地を目指していく」(同組合)。

 経産省など関係6省は今年8月、地域資源の活用促進に向けて都道府県がまとめた基本構想を認定。この中で地域資源として全国の8354件(うち観光資源は3844件)が特定されている。今回は第1号の案件として153件の事業計画を採択、今後は申請に応じて随時認定する。今年度の補助金の予算額は30億円を計上している。

 
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