中国旅行会社の訪日旅行取扱人数、8割が過去最高を予想


 訪日旅行を取り扱う中国の旅行会社の8割以上が、今年の自社の訪日旅行取扱人数は過去最高になると予想している。日本政府観光局(JNTO)が105社を対象に実施したアンケート調査の結果で分かった。訪日旅行のテーマについても、温泉、紅葉、スキー・雪遊びなどへの期待が上昇。目的地ではゴールデンルート以外の地域にも注目が集まっている。一方、訪日旅行取扱の不安要素に宿泊施設やバスの確保難が挙げられた。

 調査は、JNTOの北京、上海、香港の各事務所が今年2〜3月に実施。訪日旅行を取り扱う主要な旅行会社105社(香港は含まない)から得た回答を集計した。

 今年の自社の訪日旅行取扱人数に関しては、「過去最高を上回る」が60%、「過去最高か同程度」が25%、「過去最高には及ばない」が13%だった。全体の85%が過去最高となる見通しと回答した。

 取扱人数が過去最高となる理由には、訪日旅行の高い満足度に伴うリピーター化の進展、可処分所得の伸びに伴う海外旅行の増加、訪日個人旅行の増加、円高是正による割安感、クルーズや航空路線の拡大などが挙げられた。

 増加が期待できる訪日旅行のテーマを複数回答で聞いた結果、期待が高いテーマは、桜の花見(前年比13ポイント増の79%)、温泉(同10ポイント増の74%)、ショッピング(同9ポイント増の73%)で、12年、13年の調査結果でも上位3位を占めている。以下は、秋の紅葉が同29ポイント増の70%、スキー・雪遊びが同21ポイント増の69%となり、前年を大きく上回る期待を集めた。

 今年販売に力を入れる目的地(複数回答)は、定番のゴールデンルートが87%で最多。以下は北海道が82%、沖縄が58%、東京が53%、関西が35%、九州が29%、中部・北陸が26%。人気が高い北海道は前年比6ポイント増となり、ゴールデンルートにほぼ並んだ。今年から調査項目に追加した中部・北陸は、九州とほぼ同等の結果だった。

 販売に力を入れる目的地を旅行会社の所在エリア別にみると、華北(北京市など)は九州への関心が他より高い。華東(上海市など)は、個人旅行化が進む大都市を有する関係で、東京への関心が他より高いほか、航空路線がある中部・北陸も高い。華南(広東省など)は、クルーズの寄港実績や航空路線の充実で沖縄への関心が他より高い。内陸(重慶市など)は、ゴールデンルートや北海道といった定番の目的地への関心が高い。

 取扱人数の増加を予想する旅行会社が多い中で、訪日旅行に対する不安要素も挙げられている。主な不安要素は(1)日本国内の宿泊施設、バス等の確保の困難化(2)航空座席供給量の減少(減便、機材小型化)(3)「倹約令」に伴う公務・商務旅行の減少。

 特に、日本国内での手配の問題では、東南アジアや台湾、香港などの訪日旅行需要の急増に伴い、「宿泊施設、バスの確保がひっ迫しており、訪日需要を十分吸収できていないケースが生じている」との声が各社から挙がっているという。

中国客取り込み 国際競争は激化
 同調査では、中国の旅行会社に今年人気となる海外旅行先を複数回答で聞いた。日本を挙げた旅行会社は、前年は全体の15%にとどまったが、今年は60%を超えた。ただ、韓国、台湾などの人気は高く、誘客競争は激しさを増している。

 日本を人気の旅行先として挙げたのは、個人旅行で63%、団体旅行で64%だった。これに対し韓国は個人旅行で73%、団体旅行で79%、台湾は個人旅行で65%、団体旅行で63%。このほかビーチリゾートが人気で個人旅行が70%、団体旅行が74%となった。

 訪日旅行の促進に向けて、中国の旅行会社が日本側に期待する施策では、消費者向けでは広告宣伝、旅行業界向けでは視察旅行への招請、送客報奨金制度、資料・情報提供が上位の回答だった。

 
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