中国人の訪日に対する個人観光査証(ビザ)の新制度が1日にスタートした。北京、上海、広州に居住する富裕層は個人観光ビザの取得で、添乗員を伴わない旅行ができるようになった。景気低迷や新型インフルエンザで冷え込む訪日市場の活性化はもとより、外客2千万人時代を見据えた中国人富裕層の誘致拡大に期待がかかる。
個人観光ビザは、申請から発給まで5日間ほどかかる。有効期間は15日間。個人年収25万元(日本円換算で約350万円)が発給の基準となる。中国側の旅行会社がビザ申請を行い、日本側の旅行会社が身元引き受けを行う制度は団体観光と同様だが、旅程表の提出などにより、添乗員の同行は条件ではなくなる。
新制度の周知に向け、北京国際旅游博覧会(6月18〜20日、北京市)では、日本の観光関係者がプロモーション活動を展開した。また、6月22日には上海でビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)の現地推進委員会が開かれ、観光客誘致に向けた関係機関の協力が確認された。
観光庁や日本政府観光局(JNTO)は、広告宣伝やメディア招請などのVJC事業を通じ、個人旅行の魅力をPRしていく。中国最大の検索サイト「百度(バイドゥ)」と提携した訪日プロモーションも展開している。
JNTOの宣伝事務所が設置されていない広州には、臨時プロモーション拠点が開設された。現地スタッフ1人が常駐するほか、JNTO香港宣伝事務所のスタッフが出張して対応する。当面の開設期間は来年3月末まで。
受け入れ側も動き出している。JTBグローバルマーケティング&トラベルは、訪日外国人向けのツアー「サンライズツアー」の参加者に対し、中国発行のキャッシュカード、銀聯カードによる決済を導入。ツアーのチェックインカウンターがある東京・浜松町バスターミナルで取り扱いを始めた。
銀聯カードの日本国内の業務提携先、三井住友カードでは、7月1日〜10月31日の期間、北海道と九州で銀聯カードの利用促進キャンペーンを展開する。百貨店や家電量販店などのキャンペーン参加店で銀聯カードを使う際、旅行会社を通じて前もって配布したクーポン券を提示すると、割り引きが受けられる。