内閣府はこのほど、景気ウォッチャー調査の7月分を公表した。同月の現状判断DI(季節調整値)は前月比1.5ポイント減の46.6と、2カ月ぶりに低下した。家計動向関連、企業動向関連、雇用関連の全てのDIが低下。地域別では「平成30年7月豪雨」の影響を受けた中国と四国でDIが大幅に低下した。
調査は地域の景気を観察できる人に、景気の現状や先行きについて「良くなっている」「変わらない」「やや悪くなっている」など5段階で判断してもらい、回答を数値化したもの。
家計動向関連は前月比2.1ポイント減の44.8。小売関連(同0.1ポイント増の46.0)のみが上昇し、飲食関連(同1.8ポイント減の41.1)、サービス関連(同6.9ポイント減の42.4)、住宅関連(同0.3ポイント減の50.0)が低下した。
全国12地域別に見ると、東北、甲信越、北陸の3地域が上昇、9地域が低下した。このうち中国は同6.5ポイント減の41.2。四国は同5.6ポイント減の44.1。平成30年7月豪雨の被害が大きかった地域でDIが大きく低下した。
2~3カ月先の景気の先行きに対する判断DIは前月比1.0ポイント減の49.0。
雇用関連が上昇、家計動向関連と企業動向関連が低下した。
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「判断の理由」で観光関連の主な声は次の通り。
「北海道のような広域エリアにとって、統合型リゾート(IR)の建設が決まることになれば、雇用を含めて景気が上向きになる可能性がある」(先行き、不変、北海道、旅行代理店)。
「西日本の平成30年7月豪雨災害によるマインドの部分や猛暑が続いて、外出を控えがちになりそうである」(先行き、やや悪、甲信越、都市型ホテル)。
「7月は、平成30年7月豪雨により宿泊者のキャンセルが個人団体を合わせて千名以上に上り、宿泊宴会も含めると全体収入の1割強に当たり、大打撃といえる」(現状、悪、東海、観光型ホテル)。
「家計の景気は悪くない。ホテル宿泊業界の事情で宿泊代金が高くても、旅行を計画した客は申し込みをしている。この先の心配事は、過去に前例のない異常気象や猛暑、平成30年7月豪雨の災害による旅行の中止である。特に団体旅行の中止は旅行景気の増減に直結してくるので、注視していきたい」(先行き、不変、東海、旅行代理店)。
「平成30年7月豪雨による影響で、宿泊や宴会、レストランのキャンセルが相次いだ。いまだに宿泊の予約状況は回復せず悪い状態である。気温の上昇も加わってレストラン利用客も減少している。全体で前年同月に比べ、10%以上悪くなる見通しである」(現状、やや悪、北陸、都市型ホテル)。
「中国、四国、九州方面への旅行について、復興支援ツアーが増えると見込まれる」(先行き、やや良、近畿、旅行代理店)。
「平成30年7月豪雨災害の発生から宴会とレストランのキャンセルが集中して大きな減収となっている。宿泊では、災害に伴うマイナスの影響は今のところないが、ホテルを含め県内の観光地は大きな打撃を受けている」(現状、悪、中国、都市型ホテル)。
「大阪府北部地震に続いて、平成30年7月豪雨があり、この二つが消費者マインドを冷やしている。キャンセルも多く、先の予約でもキャンセルがある。また先の予約が伸びてこないといったところが非常に危惧される」(現状、やや悪、四国、都市型ホテル)。
「宿泊は競争相手が増えていることで厳しくなっている。飲食も同様である。今回の平成30年7月豪雨や台風などで旅行者の旅行意欲がなくなるのではと心配している」(先行き、やや悪、沖縄、観光型ホテル)。