一休は14日、宿泊予約サイト「一休ドットコム」に参加する宿泊施設のシステム利用料率(手数料率に相当)を現行の8%から10%に引き上げると発表した。4月から適用する。値上げ分を原資としたポイントプログラムの拡充などで利用の促進を目指すとしている。
利用者に付与するポイントを増やす。現行のポイント付与率は、事前カード決済の場合、宿泊プランの1%だが、4月からは2%に引き上げる。現行ではポイントが付かない現地決済の場合にも1%を付与することにする。
ポイントプログラムの拡充に加え、利用頻度を高めるためのスタンププログラムを創設。利用実績に応じて累積するデジタル上のスタンプカードのような仕組みで、10スタンプで1千ポイント、以降は20スタンプごとに1千ポイントをプレゼントするなどの特典を付けていく。
ビジネス需要に特化した宿泊予約サイト「一休ドットコム・ビジネス」に関しては、昨年4月に開設したばかりのため、既存の契約施設の利用料率は8%に据え置き、ポイント・スタンププログラムの原資も別枠と位置づけて一休の持ち出しにするという。
一休ドットコムの契約施設は、現在約1200軒(旅館550軒、ホテル650軒)。一休は契約施設に向けて12日付で文書を発送し、システム利用料に関する覚書の更新に署名を求めている。
今回の改定について一休の高野裕二副社長は、宿泊予約サイト間の競争激化を踏まえ、「ユーザーへの直接的な還元策を充実させないと、将来にわたって当サイトへの支持を維持することはできない。今のうちに手を打つ必要がある」と説明。負担が増す宿泊施設に対しては「送客の拡大が一番の貢献になる」と強調している。
宿泊業界、負担増加に不満
宿泊予約サイトをめぐっては、リクルートの「じゃらんnet」が新ポイントプログラムの導入に伴う実質的な手数料率アップを打ち出したばかりだ。宿泊単価の低迷などに苦しむ宿泊業界には、相次ぐ負担の増加に不満がくすぶっている。
じゃらんnetは、昨年秋に新ポイントプログラムの導入を契約施設に通知、今年4月からの実施を予定している。ポイント付与の負担分として契約施設に新たに2%を課し、2人以上1室利用の場合、システム利用料率と合わせた実質的な手数料は10%に引き上げられる。
リクルート、一休、さらに他社を含めた宿泊予約サイト間の競争は、今後さらに激化しそうだ。顧客の囲い込みに向けたポイントサービスの拡充とともに、宿泊施設との契約についても、「積極的にはアピールしないが、他の宿泊予約専業サイトと契約せず、当社に絞ってもらえるならば、個々の契約で利用料率を据え置く」(一休の高野副社長)などの条件提示も出ている。
ビジネスパートナーである宿泊業界は手数料率の引き上げに反発している。じゃらんnetの実質的な手数料アップに対しては、国際観光旅館連盟、日本ホテル協会などの旅館・ホテル業5団体が反対の姿勢を表明し、再考を求める要望書を提出した。サイト特性や契約施設数こそ違うが、一休が手数料アップに追随したことで、宿泊業界には負担の増加に対する懸念が広がりそうだ。