リクルートの国内旅行カンパニー(冨塚優カンパニー長)とじゃらんリサーチセンター(沢登次彦センター長)は、全国自治体の観光担当者らを対象に無料の「観光振興セミナー」を全国5都市で開いた。
同セミナーは昨年初めて東京で開催。反響が大きかったことから全国各地で開くことにした。
国交省総合政策局の重田雅史・観光地域振興課長を招いて8月29日に東京都千代田区の都道府県会館で開いたセミナーには、123人が参加。同23日の大阪会場には63人、同31日の九州会場には93人、9月5日の名古屋会場には50人、同6日の北海道会場には80人がそれぞれ出席した。
合計409人の自治体観光担当者が出席したことになる。個人旅行市場に影響力の高い国内旅行情報誌「じゃらん」を発行し、宿泊予約サイトの中でもレジャー目的での利用比率が高い「じゃらんnet」を運営するリクルート国内旅行カンパニーに対する自治体の期待と関心の高さを裏付けた格好だ。
JTB、KNT、日本旅行などの大手旅行会社は、各自治体や観光協会などの観光関連団体に数多くの出向者や転籍者を送り、地域の観光振興を個別に内部から支援している。ただ、今回のセミナーのように自治体を一堂に集めてのセミナー開催はあまり例がない。
重田課長は29日の東京会場のあいさつで、「2010年までに、国内観光旅行消費額を現在の24.4兆円から30兆円にすることや、国民1人あたりの年間宿泊数を現在の約3泊から4泊にすることなどの数値目標を『観光立国推進基本計画』の中で掲げている。実現にむけては、観光圏の概念を広域の『地域観光圏』ととらえ直した上で、自治体と自治体が行政区画を超えた戦略的パートナーシップを組み、広がりのあるまちづくりを進めていく必要がある」と強調した。
また、冨塚カンパニー長は「旧来のエージェントの客室ブロック制度が販売機会の逸失を招いている。国内旅行カンパニーの850人のメンバーは、宿泊施設とカスタマーのマッチング効率を高めたいと思っている」と持論を展開。さらに「各地域に在住の施設担当営業スタッフが290人いる。じゃらんと各宿泊施設が連携して、地域のより深い魅力を発掘、発信していきたい。連泊・長旅ブームも仕掛けていきたい」と今後の意気込みを語った。
セミナーでは、同カンパニーの調査研究部門であるじゃらんリサーチセンターが「宿泊旅行動向調査2007」の調査結果を発表した。06年度に国内旅行をした約1万人にインターネットを使って質問に答えてもらい結果をまとめたもの。
調査結果をもとに都道府県別の動向を分析したカルテも作成。無料で各自治体担当者に個別配布した。
同調査は05年に開始し、今年で3年目。県別カルテの作成と無料配布も3回目となる。
カルテには、調査結果から推計した延べ宿泊旅行者数、宿泊者の居住地、県内での宿泊地域、同行者の種類・人数、宿泊旅行の時期、1回あたりの宿泊数、利用宿泊施設の種類、宿泊旅行1回あたりにかかった費用、宿泊旅行の手配方法、来訪者の満足度などを記載。精緻なレポートとなっている。