
甲武信エコパークを構成する甲武信ケ岳
日本ユネスコ国内委員会は7日、ユネスコのエコパーク(生物圏保存地域)に「甲武信(こぶし)」を推薦することを決めたと発表した。9月にユネスコ本部(パリ)に申請、来年春ごろに登録の可否が決まる。関係自治体の中には「観光振興に寄与する」と期待する声もある。
甲武信は埼玉、東京、山梨、長野の4都県12市町村に及ぶ総面積19万603ヘクタール。甲武信ケ岳や金峰岳、雲取山などが連なる奥秩父主稜を中心とし、これを源流とする荒川、多摩川、笛吹川(富士川)、千曲川(信濃川)流域をまたがる地域で構成する。
山岳や森に加えて、御岳昇仙峡などの渓谷が四季折々に彩りを変える日本的で素朴な美しい自然に恵まれており、貴重な生態系が広く保存されているほか、山岳・神社信仰に関する多様な文化が残る。
同国内委員会は「太平洋側から日本海側までの広い領域を支える水源地の環境をあわせ持ち、人間の活動と生態系保全のバランスがとれた地域」と評価。また、農業や林業、企業と連携した森づくり活動などの持続可能な経済活動が実施されていることを挙げ、「今後、移行地域のモデルとなるような活動の実施が見込まれる」としている。
世界自然遺産は手つかずの自然を守るのが原則なのに対し、エコパークは自然と人間社会の共生を目的とする。登録件数は昨年6月現在で、120カ国の669地域。
国内では「志賀高原」(長野、群馬)、「白山」(富山、石川、福井、岐阜)、「大台ケ原・大峯山・大杉谷」(奈良、三重)、「屋久島・口永良部島」(鹿児島)が1980年に初登録された。以後、「綾」(宮崎)、「只見」(福島)、「南アルプス」(山梨、長野、静岡)、「祖母・傾・大崩」(宮崎、大分)、「みなかみ」(群馬、新潟)が登録され、計9件のエコパークがある。