帝国データバンクによると、宿泊施設経営の「ホテル一萬里」(長野県佐久市、資本金1千万円)は4日、事業を停止した。負債は35億円を上回る見込み。長野県内における新型コロナウイルス感染拡大を受けた倒産は4件目、負債額は最大。
同社は、1967年7月に設立。89年12月に「佐久一萬里温泉ホテルゴールデンセンチュリー」を新築し、ホテルの経営を中心に事業を展開していた。宿泊や日帰り温泉需要に加え、披露宴、パーティー、飲食、会議など幅広い需要に対応し、2002年5月期には年収入高約13億6500万円を計上していた。03年には介護付き有料老人ホームの経営にも着手するなど、業容を拡大していた。
しかし、近年は競合の激化や単価の下落などから業績が下降線をたどり、年収入高は19年5月期には約7億6400万円へと後退、収益面も厳しい推移を続けていた。また、従前の設備投資負担も重荷となる中、取引金融機関が貸出債権をサービサーに譲渡するなど厳しい状況が拡大。事業を継続してきたが、今年に入り新型コロナウイルスの感染拡大の影響も重なり環境が一層悪化、事業を断念した。