日本政策金融公庫はこのほど、ホテル・旅館、飲食など生活衛生関係営業の景気動向等調査の7~9月期分を公表した。同期のホテル・旅館の業況判断DI(前期比で好転の企業割合から悪化の企業割合を引いた値)は3・8で、前期(4~6月期)比5・5ポイント上昇。4期ぶりにプラス水準に回復した。全業種のDIはマイナス17・6で、前期比8・0ポイント低下。前年同期(2016年7~9月期)比では横ばいだった。
ホテル・旅館のDIは2期連続で上昇。ただ、前年同期(11・6)との比較では、7・8ポイント低下した。来期(10~12月期)は、今期比4・4ポイント低下のマイナス0・6の見通し。
全業種の来期はマイナス10・5と、今期比7・1ポイント上昇の見通し。
ほかの業種を見ると、今期はホテル・旅館以外では、氷雪(42・3)のみがプラス水準。映画館(0・0)がボーダーラインで、ほかは全てマイナス水準にとどまった。
来期は食肉・食鳥肉(3・1)、料理(2・7)、社交(1・1)がプラス水準の見通し。
同期の売上DI(前年同期比で増加の企業割合から減少の企業割合を引いた値)は、ホテル・旅館がマイナス12・0で、前期比10・3ポイント低下。来期はマイナス5・1で、今期比6・9ポイント上昇の見通し。
業況判断の理由について、ホテル・旅館の主な声は次の通り。
「外国人旅行客が増加している波及効果が出てきている。中心部のホテルの値上げにより顧客が流れてきており稼働率は高水準を維持できている」(今期、好転、北海道)。
「各種スポーツ大会、イベントがあったため、宿泊者数が増加した」(今期、好転、宮崎県)。
「8月(夏休み)が天候不順で宿泊申し込みのお客さまのキャンセルが多く、昼間の食堂客も少なかったので、売り上げはかなり減少した」(今期、悪化、群馬県)。
「毎年続く不順な天候がこの夏も続き、売り上げが減少した。併せて国内経済動向も悪化している感じがする」(今期、悪化、長野県)。
「『悪化』とはしたがあくまでも対前年比であって、3、4年前と比べると非常に良い数字である。一昨年、昨年と爆発的ともいえるインバウンド客の動きが少々落ち着いたとも思える」(今期、悪化、大阪府)。
「インバウンドの増加に伴い、JR奈良駅前にホテルが建ち、その他ゲストハウスが急激に増えた結果、新しいところやエージェント契約しているところに流れたものと考える」(今期、悪化、奈良県)。
「最寄りの駅前にビジネスホテルが二つ新規進出したため、ビジネス客の宿泊が急減した。また、天災関係では、阿蘇地方の道路復旧工事が遅れ、観光コースの変更による修学旅行先の見直しが相次ぎ、売り上げに影響している」(今期、悪化、福岡県)。
「JR鹿児島中央駅に近いためビジネス客や旅行客の利用が多いが、最近は特に外国人観光客が増加している」(来期、好転、鹿児島県)。
「インバウンドを含む旅行者の増加により当面は現況が続くと見えるが、1年後をめどに景況は息切れすると見ている」(来期、不変、静岡県)。