日本政策金融公庫はこのほど、生活衛生関係営業の景気動向等調査の昨年10~12月期分を公表した。同期のホテル・旅館の業況判断DIは前期比5・5ポイント減のマイナス1・7と3期ぶりに低下するとともに、2期ぶりにマイナス水準に転落した。前年同期比でも1・1ポイント低下した。
生衛業全体は同2・5ポイント減のマイナス20・1と、2期連続で低下。ただ、前年同期比では1・9ポイント増と、2期ぶりに上昇した。
生衛業の景況について調査は「緩やかな持ち直しの動きがみられる」とした。
業況判断DIは業況が前期比で好転の企業割合から悪化の企業割合を引いた値。
同期はホテル・旅館、飲食業、理容など調査9業種全てがマイナス水準。飲食業の中のそば・うどん、中華、すしなど7業種も全てがマイナス水準だった。
来期(今年1~3月期)はホテル・旅館がマイナス20・3、生衛業全体がマイナス22・0と、マイナス幅がさらに広がる見通し。
ホテル・旅館の主な回答は次の通り。
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「年末年始は宴会予約が入る時期だが、大人数の宴会予約が減っている。東京オリンピック等もあり冬場は確実に仕事がある東京に出稼ぎに出る工事業者が増え、工事業者の宿泊予約が減っている」(今期、悪化、北海道)。
「台湾の定期便が運航を開始したことや韓国便の増便などもあり、インバウンドのお客さまが好調に推移している」(来期、好転、青森県)。
「天候不順のため(特に週末に雨などが多く)、申し込み客のキャンセルが非常に多く売り上げが減少した。登山客は増えているが、食事やお土産、宿泊などにお金を使わない」(今期、悪化、群馬県)。
「信州デスティネーションキャンペーンの影響による入り込み客の増加はあまり感じられなかった。冬から夏は対前年とほぼ同じ。秋は若干の増加はあったが、全体としては不変」(今期、不変、長野県)。
「前年にも増してインバウンドの集客は好調ではあるが、国内のお客さまの動きは鈍い。民泊による客室の増加、新規ホテルの開業が続き、客室単価の下降、稼働率の低下が心配される」(今期、好転、東京都)。
「地域経済や業種にとってインバウンドが大きな追い風となっており、来期についても東京オリンピックがプラス効果となって、業況は好調に推移するものと見込んでいる」(来期、好転、神奈川県)。
「近隣に完成した総合体育館で開催されるスポーツ競技関連の利用者増を期待するが、結果が出るまで不透明である」(来期、不変、三重県)。
「昨年は震災で大きく売り上げが減少したが、今年は回復している」(今期、好転、大分県)。
「スポーツ合宿等は前年並みだったが、週末に台風が2回来たことで予約がキャンセルになってしまい、打撃を受けた」(今期、不変、宮崎県)。