ホテルマネージメントインターナショナル(HMI、東京都中央区)は16日、3月末に事業承継を受けていたホテルこうしゅうえん(旧ホテル高州園、石川県輪島市)で、「事業承継披露宴」を開催した。披露宴前に輪島市役所で、同社の比良竜虎社長の表敬訪問を受けた、梶文秋輪島市長や、インドから日本国籍を取得した比良社長と親交の深い、スジャン・チノイ駐日インド大使臨席のもと、旧経営陣や地元の観光業者など約200人が出席した。
冒頭、「こうしゅうえんを引き継いでいただき、感謝している。HMIの全国ネットを生かして、さらに発展していただきたい」と梶市長があいさつ。チノイ大使は「観光による人的交流は、外交にも非常に大きな意味を持っている。比良社長をはじめ、HMI・こうしゅうえんのさらなる発展を祈念する」と祝辞を述べた。
ホテルこうしゅうえんは1968年創業で、客室132室、収容人員650人と、輪島市を代表する大型温泉旅館。日本海が一望できる露天風呂や、館内で披露される「御陣乗太鼓」も好評を得ている。
輪島の年間宿泊者15万人のおよそ半分に当たる約7万人を受け入れてきたが、後継者不足などを理由に輪島観光開発から、土地・建物含め約16億円で取得し、3月末からHMIが運営。約100人の従業員も継続雇用している。
HMIは全国で54の旅館・ホテル(こうしゅうえん含む)と6のフィットネス施設を展開。石川県内では、千里浜やわらぎ温泉「ホテルウェルネス能登路」(石川県宝達志水町)、片山津温泉「ホテル北陸古賀乃井」(同県加賀市)、山代温泉「ホテル大のや」(同市)の3施設を既に経営しており、今回の承継で県内4施設目となる。
今後について同社の比良社長は「今回の承継は、次の50年に備えた『総合的経営基盤の強化』および『観光業の国際化』に向けた第一歩。新生こうしゅうえんは、観光業の国際化に向け、輪島の文化を基盤とした本格的ビーチサイドリゾートを目指していく。地域社会と一体となって、共存共栄、地産地消を柱に発展をしていきたい」と意気込みを述べた。
合わせて、一部客室の和洋室化、眼下に広がる日本海を楽しむことができるウッドデッキの整備、海岸線への散策コース設置などの改修計画を発表。改修費用として約5億円を予算計上し、営業を続けたまま来年3月までに改修を終える予定だ。改修のほか、地域自治体などと海外でのPR活動にも力を入れ、インバウンド旅行者の拡大を図っていく考え。ホテルこうしゅうえんの集客目標として、2020年の宿泊者数20万人達成を掲げた。
【小林大樹】
(右から)比良HMI社長、チノイ・インド大使、輪島市の梶市長
改装後の海岸沿いデッキのイメージ