HISグループのハウステンボス(HTB、長崎県佐世保市)は1月27日、ローコストホテル「変なホテル」を7月17日にHTB敷地内に開業すると発表した。フロント業務や給仕、掃除などほとんどのサービスをロボットが担当、宿泊料金はオークションで決定するなど、斬新な施策を導入する。
同ホテルは、HTBが中心になり、建設やロボット開発、省エネ技術など、20を超える会社・団体と進めてきた「スマートホテルプロジェクト」により開発。ホテル名は「変わり続けることを約束するホテル」のコンセプトから付けられた。
7月に開業するのは、東大生産技術研究所が設計したレンガを使った2階建ての第一期棟(72室)。大手ゼネコンの鹿島が設計・施工する木造2階建ての第二期棟(同)は来年2月末完成予定。
各種サービスはロボットが担当。受付3台、給仕などのサービス1〜2台、ポーター2台、ロッカー1台、清掃数台を配置する。顔認証システムを導入し、宿泊客は鍵を持たずに客室を出入りすることができる。
第二期棟完成後の全面開業時の従業員数は10人程度の見込み。バックヤードでフロントやロビーの監視、ロボットのサービスが不足した時の対応に当たる。この数は同規模のホテルの人数の3分の1以下のため、人件費も大幅に削減できるという。
宿泊料金はホテルホームページから入札に参加、一番高い金額を入力した人が購入できる。利用時期を「ボトム(閑散期)」「ミドル」「トップ(繁忙期)」と分類。部屋はシングルとツイン、トリプルなどがあり、ボトムのシングルは7千円からとなっている。すでに仮受付を始めており、3月からは電話予約も受け付ける。
第一期棟は全室空調を設置しないため、冷暖房は送風ではなく、電磁波により体から奪う熱の多少で温冷を感じる「放射システム」を導入する。太陽光発電を活用、照明などのエネルギーも節約し、同規模ホテルと比べて光熱費は3割以上削減できるという。
建物は工場で生産し、設置場所で組み立てる。全世界への展開も計画しているため、運びやすいよう世界標準のコンテナサイズに統一した。
第一期棟の総工費は約10億円。初年度(10月〜来年9月)経営目標は宿泊者数5万4千人、売り上げ3.5億円を見込む。
HTBは、変なホテルを0号店と設定。1〜2カ月で検証を終え、グループのリゾート施設「ラグーナテンボス」(愛知県蒲郡市)に1号店を設置する予定。
HIS本社で会見した澤田秀雄社長(HIS会長)は「(量産化すれば)工費は今後、(現在の)七掛け八掛けになっていくと思う。全世界への展開を進め、最初は100、将来は1000を目指す」と述べた。また、宿泊費もプロジェクトが軌道に乗れば、今回の設定金額より下げることは可能との認識を示した。
フロント業務を行う人体型ロボット「アクトロイド」