EV(電気自動車)向け充電インフラ事業を手掛けるテラモーターズは、JTBコミュニケーションデザインと9月29日に業務提携。グリーントランスフォーメーション(GX)の実現を目指し、EV充電インフラ網の整備を核に持続可能な移動・観光基盤の構築を進める。観光地の宿泊施設などに対しては、補助金を活用してEV充電器を無料で設置できるプランを提案している。
環境問題の深刻化と技術革新の加速により、EVの普及は急激に進むと見込まれるが、国内の移動のためのEV充電インフラと、そのインフラを利活用したサービスに関する課題は多い。そこで両社は、生活基点と目的地双方のEV充電インフラ網を拡充していくと共に、移動情報を活用した、利用者に最適な情報・サービスを提供する基盤を構築することで、脱炭素社会を前提とした新たな移動・観光様式を提案し、サステナブルな社会に貢献する。
EVは充電時間が長い、走行距離が短い、利用充電スポットに偏重があるなどの課題がある。「これらのデメリットを逆にメリットとして捉え、充電スポットでの誘客、消費拡大などEVによる新たな旅のスタイルをデザインすることで、地域の活性化にも貢献する」とJTBコミュニケーションデザイン。
また、地域のエネルギー需要に合わせた充電使用料の設定や、再生可能エネルギーの地産地消を可能とするなど、利用者と目的地側双方にとって有益なEV充電インフラサービスの基盤を構築。快適なEVライフの創出と、地域経済の活性化、低炭素社会の実現に寄与することを目指す。
業務提携による主な事業は、(1)基礎充電・目的地充電機能としてのテラモーターズ社製充電器「Terra Charge」の設置(2)設置したEV充電インフラを利用するアプリケーションや提供サービスの構築(3)データの活用やエネルギーマネジメントシステムとの連携、など。
Terra Chargeは、初期費用ゼロ、ランニングコストゼロでEV充電器が設置できる。テラモーターズが今年4月からリリースした業界初のサービスだ。
補助金申請手続きも同社が代行するなど、「旅館・ホテルにとって導入のメリットは計り知れない」(同社)。
旅館・ホテルや観光施設などに対しては、JTBグループのネットワークを活用して充電器Terra Chargeの導入を働き掛ける。EVの充電設備だけでなく、充電時間の設定や料金決済を行う専用アプリ・管理クラウドの提供、充電設備の設置工事、ハード・ソフトの管理運営までを一貫して担う。
テラモーターズは、分譲マンションや商業施設、公共施設などを中心にEV充電器を設置。22年度上半期では1500基以上の導入が決定。「これは業界シェアトップ」(同社)。この勢いのままに22年度内に3千基、23年度に1万基の設置を計画している。旅館・ホテルや観光施設といった観光関連では大手チェーンホテルでの導入が決まっている。
テラモーターズは「今後、日本のEV充電インフラの整備、サービスの利用ユーザー数の拡大を進めるために両社で協調した取り組みを進める。Terra ChargeアプリでもJTBグループとの連携により、充実した生活を実現するプラットフォームを目指すと同時に、移動情報に基づく移動目的自体の満足度向上を実現する進化型MaaSモデルの構築に取り組む」と話す。
充電器「Terra Charge」