ホテル・旅館専門の総合エンジニアリング会社のタップは11月21日、同社ホテルシステムのユーザーが集う「2022年度タップユーザー会」を帝国ホテル東京で開いた。約500人が参加した。
タップ代表取締役会長兼社長の林悦男氏は、同社の現況について「おかげさまで創業35周年を迎えることができた。現在のグループ社員数は300人を超え、ユーザー宿泊施設数は1500軒・25万室に達した。今後はホテルに加えて、旅館、そして地域観光DXにも注力し、日本の宿泊業界の生産性向上のお手伝いをしていく」とあいさつ。沖縄県うるま市で建設中の実験ホテル「THL(タップホスピタリティラボ沖縄)」が23年5月に完成予定であることについても触れ、「テクノロジーを利活用した産官学連携の総合実証実験施設になる。大学、専門学校の教育実践、タップユーザーの研修、ホテルを中心とした周辺地域とのビジネスモデルの実験、最新ソリューションの実験・検証セミナーの開催などを行う」と述べた。
東京女子大学副学長で現代教養学部教授の矢ヶ崎紀子氏による記念講演「これからのツーリズム~コロナ禍の経験を踏まえての展望~」も実施。矢ヶ崎教授は次のように話した。
「旅行で稼ぐ外貨はモノで稼ぐ外貨とは違う。富士山は海外に持ち出せないが、そのような国内観光資源を使って稼ぐことができるのが観光産業。国の成長戦略の柱としての重要性はますます高まっている。そして地域にお金を回す力が最も強いのが宿泊業だ。また宿泊施設が、地域のショーケースとなることで、地域の文化、技術、素材を後世に残し、伝えることが可能となる」。その上で「日本の自動車産業にはイノベーションがある。観光産業(宿泊産業)にもイノベーションが必要だ。またDMOには全体をコーディネートする機能がさらに求められている」と強調し、宿泊業界から集まった参加者にエールを送った。
タップが開催した2022年度ユーザー会