震災の影響で外国人旅行者が激減する中、タイの旅行業団体の訪問団約150人が12日に来日し、箱根や富士山周辺など関東の観光地の状況を視察した。13日には東京都内のホテルで、日本の観光関係者との懇親会も開き、復興にエールを送るとともに、訪日観光の回復に努力する意向を伝えた。
訪問団はタイ国旅行業協会(TTAA)が主催した。大手を含む旅行会社72社、報道機関などが参加した。12日に羽田空港に到着し、15日までの日程で箱根、富士山五合目、河口湖、東京ディズニーランドなどを訪れた。
懇親会では、TTAAのチャルン・ワンガナノン会長が「日本は大切な友人。震災の報道に接し心配していたが、観光業界の皆さまの力強さが日本を復興に導くと確信している。今回の訪問はささやかな支援だが、日本の経済、観光の復興に向けた励ましになれば」とあいさつした。
日本側は、観光庁の溝畑宏長官、日本政府観光局(JNTO)の間宮忠敏理事長、日本旅行業協会の柴田耕介理事長をはじめ、地方自治体や観光業の関係者約100人が参加した。
溝畑長官は「温かな支援に感謝する。タイの観光も、過去には津波やデモによる混乱といった苦難を乗り越えてきた。私たちも元気で美しい日本をみせるためにがんばっている」と述べ、訪日観光の安全性を強調し、日タイ間の観光交流の拡大を呼びかけた。
商談会に51団体 明神館ら宿泊業も
12日には懇親会に先立ち商談会も開かれた。日本の旅行会社や自治体、運輸事業者、宿泊施設など51団体がブースを開設、タイ訪問団の参加者と商談を繰り広げた。
タイからの訪日旅行者数は、昨年、21万5千人に達して過去最高を記録した。ビジット・ジャパン・キャンペーンを開始した03年の8万人に比べると約3倍になった。
商談会にはJTB、近畿日本ツーリスト、日本旅行などの旅行会社、山形県や群馬県、仙台市などの自治体、東京ディズニーリゾート、日光江戸村などの観光施設も参加した。
プリンスホテルなどの宿泊事業者も出展。旅館では、明神館(長野県・扉温泉)がブースを設けた。昨年11月にタイにセールスに出かけたという明神館マーケティングマネージャーの大信田早苗氏は「欧米や香港、台湾などに比べ、タイからの宿泊客はまだ多くはないが、日本の自然や食事、温泉などへの関心は高く、リラックスできる宿としてPRしていきたい」と話していた。
TTAAのワンガナノン会長(右)と溝畑長官