サブカルチャーは観光資源としてどのように活用されるべきか──。観光学科に所属する大学生ら100人が全国から集まり、こんなテーマで調査、報告会を行った。
20、21日の2日間、杏林大学八王子キャンパスで「第4回全国観光学科学生サミット」が開かれた。参加したのは、阪南大学、杏林大学、川村学園女子大学、横浜商科大学、立教大学の観光関連学部・学科に所属する学生94人と若手教員6人。
岡本伸之・立教大学観光学部教授(現在は名誉教授、帝京大学教授)のゼミナールで共に学んだ、丹治朋子・川村学園女子大学准教授、大谷新太郎・阪南大学准教授、野口洋平・杏林大学専任講師の3人が、複数大学の観光系学科の学生達を集めて共に学び交流する場をつくろうと、04年から同サミットを始めた。
今回のテーマ「サブカルチャーは観光資源としてどのようにして活用されるべきか」の設定意図について野口杏林大講師は、「インバウンドのプロモーションで使われている芸者、富士山などは、伝統文化のシンボルには違いないが、現代日本人にとっては決してリアルではない。むしろアニメやゲーム、マンガなどに代表されるサブカルチャーや、B級グルメなどの方が身近。それらを観光資源として活用するアイディアを若者の感性と視点で探ろうと考えた」と話す。
研究発表では鋭い意見や指摘が続いた。阪南大学4年の吉永竜馬さん(写真中央)は「秋葉原の電気街には外国語表示が完備しているのに、メイド喫茶やフィギュアショップなどオタクが集まる場所にはほとんどない。せっかくのコンテンツが観光資源として有効活用されていない」と報告。
杏林大学3年の一場寛永さんは「過剰な路上パフォーマンスへの取り締まり強化が始まっていた時期に、歩行者天国で無差別殺人事件が発生。歩行者天国はなくなり、人が集まると職務質問をうけるようになった。結果、本物のオタクが中野ブロードウェイ(中野区)や乙女ロード(豊島区東池袋)に逃げている。オタクのいる風景が秋葉原の観光資源の一部であるならば、危機的状況だ」と指摘した。