
2020年の訪日外国人旅行者数(年間値)は、新型コロナウイルスの世界的な流行で、前年同期比87.1%減の411万6千人となった。日本政府観光局(JNTO)が20日に発表した推計値。国際的に往来が縮小し、日本も水際対策で入国制限を講じたことで、2月以降、大幅な減少が続いた。年間値としては、政府がビジット・ジャパン(VJ)事業を始めた03年以前の1998年(410万6千人)ごろの水準となった。
訪日外国人旅行者数は、VJ事業がスタートした2003年には521万人だったが、査証(ビザ)の要件緩和、プロモーションの効果などで増加基調に。19年には3188万2千人に達し、8年連続で過去最高を記録したが、コロナ禍で状況が一転した。
リーマンショックや新型インフルエンザが影響した09年には前年同月比18.7%減の679万人、東日本大震災が発生した11年には同27.8%減の621万9千人に落ち込んだが、コロナ禍による20年の前年からの下げ幅は1964年の統計開始以来、過去最大だった。
20年の訪日外国人旅行者数は1月が266万1千人と前年並みだったが、中国政府が海外ツアーの販売を1月27日から禁止するなど、2月以降、国際的な往来にコロナ禍の影響が拡大。観光目的の入国がなくなり、4~10月の各月は前年同月比が99%減で、8月までは月間1万人を割り込んだ。11月、12月は、ビジネス、留学、技能実習などの限定的な入国で月間6万人ほどだった。
国・地域別の年間値を上位について見ると、中国88.9%減の106万9千人▽台湾85.8%減の69万5千人▽韓国91.3%減の48万8千人▽香港84.9%減の34万6千人▽タイ83.3%減の22万人▽米国87.3%減の21万9千人▽ベトナム69.2%減の15万3千人―などだった。