跡見学園女子大学(東京都文京区、小仲信孝学長)は9月6日から、観光関連事業者の経営力向上を図り、観光の活性化につなげる「観光経営人材育成講座」を開講する。「コロナ禍での観光の未来を考える=インバウンドのセカンドステージでの課題と人材育成~価値創造、空間と交通、ジェンダー、異文化理解、ハラール対応~」がテーマで、受講料は無料。講座開講の意義や受講内容について塩月亮子副学長に聞いた(場所は跡見女子大文京キャンパス)。
社会変化を新たな価値創造に 多様性を認め合う〝おもいやり〟
跡見学園女子大学 塩月亮子副学長
――東京都・観光経営人材育成講座は2年目となる。
「東京都の『大学等と連携した観光経営人材育成事業』を跡見女子大が受託し、昨年から実施している。アフターコロナのインバウンド観光再開時を見据えながら、次なる観光ステージでの課題に対応できる人材育成を目指した教育プログラム。教材開発も視野にいれている」
――昨年度の総括を。
「100人以上が登録し、多くが出席した。アンケートの結果から面白いと感じたのは、開講当初にはコロナ禍後のインバウンド対策にピンポイント的な関心を持っていた受講生が、講座を学ぶうち、異文化やハラール対応への興味を強め関心を寄せていったこと。受講生はより柔軟な考え方を持ち、多角的な視点から観光を考えられる人材へと変わった。女子大が早くから取り組み蓄積してきたジェンダーやダイバーシティの教育・研究活動の成果を学び、受講後に生かしたいという思いを持った人が生まれた」
――今年度の内容について伺いたい。
「昨年は動機づけとして、考え方を伝えることが中心になった。今回は次世代観光のステージを持続可能なものへと育み、実践する人づくりを狙いにしている。今年はじめて受講する人も意識して、ジェンダーや異文化理解、ハラールの基本的な考え方をおさえながら、今後さらに大きな変化が予測される未来の社会をどうとらえるかを学ぶ。サブタイトルをみてほしい。価値をつくっているのは誰かということを問いなおした価値創造モデルに基づくマーケティングの考え方や、空間・交通場面の進化、メタバースといった新しい動きを把握する回も加わった。一層の啓蒙をはかり、実践の仕方も伝える。なによりそこから学ぶ人が自分事として、観光を通じて社会をより良くする変革の先導者になってほしい」
――注目してほしい内容はあるか。
「未来を見据えたものとして、次の消費の主役となるZ世代やミレニアル世代のマーケット、ツーリズム市場の対応で覚えておきたいマーケティング手法、社会貢献といった持続可能な企業としてあるべき姿についてなど、これらは今後の大事な考え方として、知ってもらいたい。また、女性教員も前回以上に多く携わっており、女性の力にも注目してもらいたい」
――今年度はどのような人たちに受講してもらいたいか。
「東京は、観光に携わる人たちのポテンシャルが高い。たとえばホテルは、コロナの初動時でも、高い機動力、対応力があった。今年もそうした観光の第一線で活躍する人たちをはじめ、多くの皆さまに参加していただきたい。この講座でさらに広い視野を得て、東京の現場で生かしてもらいたい。それが全国的に波及していき、日本の新しい観光につながると思う」
――跡見女子大ならではの特色は。
「跡見女子大では伝統を大事にしつつも、時代の変化に敏感に応じてきた。なかでもジェンダー、ダイバーシティには絶えず目を配ってきた。それらは”おもいやり”の実践力につながる視点で、ホスピタリティを重んじる観光の現場でも必須となる。
――最後に、読者に一言いただきたい。
「社会の変化は激しい。でも、それをチャンスだととらえて、大学ならではの広い視野で、実践と理論の双方を学べるこの講座を聞いてもらい、新たな価値創造につなげてほしい」
跡見女子大「観光経営人材育成講座」について
https://www.atomi.ac.jp/univ/activity/detail/8453/
※講座内容