コロナ疑い宿泊拒否も 自民党観光立国調査会、ワーキングチームで法律見直し検討


 自民党観光立国調査会(林幹雄会長)は、旅館業法、旅行業法など観光業に関わる法律の見直しに向けて検討を始めた。「観光業に係る法制度のあり方に関するワーキングチーム(WT)」(鶴保庸介座長)を発足、2月25日に自民党本部で初会合を開いた。旅館業法に関しては、新型コロナウイルスなどに感染の疑いがある人も宿泊を拒否できるようにするなど、第5条の改正を検討する。5月をめどに提言をまとめ、政府の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に反映させたい意向だ。

 旅館業法は1948年、旅行業法は1952年施行の古い法律。コロナ禍の現状も含めて時代に即していない面があると指摘されており、WTは今の法律で改善すべき点を議論する。

 初回は宿泊を取り巻く現状と法制度を議題に、国会議員35人と観光庁、厚生労働省の担当者が出席した。

 論点の一つは旅館業法第5条。営業者は宿泊しようとする人が「伝染性の疾病にかかっていると明らかに認められるとき」「とばく、その他の違法行為または風紀を乱す行為をするおそれがあると認められるとき」「宿泊施設に余裕のないとき、その他都道府県が条例で定める事由があるとき」を除き、宿泊を拒否してはいけないと定めている。

 今の法律では、新型コロナに感染の疑いがあるものの、熱があるだけで感染が証明されていない人は宿泊を拒否できない。旅館業界からは、宿泊客が新型コロナに感染していた場合、施設の休業を余儀なくされたり、従業員が差別を受けたりするなどのリスクがあるとして、法律を見直すべきとの声が挙がっていた。

 旅館・ホテルを風俗営業法の規制対象としていることについて、その除外も検討する。スナックなどの施設が館内の一部であっても旅館全体が法律の義務を負うことについて、不条理との意見がある。

 記者団に対応したWTの武井俊輔事務局長は、「観光を飛躍、活性化させるために、今の法律をどう改善するかを議論するのが今回のWTの趣旨だ」と話している。

 会合は週1回を予定。次回は国内と海外のOTA、キャンセル料など旅行業に関わる法律の問題を議論する。

 
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