帝国データバンクはこのほど、2020年度の業績見通しに関する企業の意識調査を行った。同年度を「増収増益」と見込む企業割合は前年度比11.3ポイント減の13.5%にとどまった。一方、「減収減益」を見込む企業割合は同22.6ポイント増の44.4%とほぼ倍増。新型コロナウイルスの影響で厳しい見通しとなっている。
20年度(20年4月決算~21年3月決算)の売上高と経常利益について、見通しを尋ねた。最も多いのが減収減益で、44.4%と半数近くが回答。リーマン・ショック直後の09年度見通し以来、11年ぶりに4割を超えるとともに、東日本大震災直後の11年度見通し以来、9年ぶりに増収増益の回答を上回った。
以下、前年度並みが17.4%(前年度比5.1ポイント減)、その他が15.1%(同3.8ポイント減)、増収増益が13.5%、減収増益が5.4%(同0.1ポイント増)、増収減益が4.1%(同2.5ポイント減)。
減収減益と減収増益、「減収だが利益は前年度並み」を加えた「減収」を見込む企業割合は前年度比23.5ポイント増の55.8%。10の業種別に見ると、卸売が60.2%、小売が60.0%、製造が59.4%、その他が57.1%と、全体の数字を上回っている。
サービスは47.7%、金融は40.8%と、5割を下回った。
20年度の業績見通しを下振れさせる材料(複数回答)は、「感染症の拡大」が62.0%と最も多かった。以下は「個人消費の一段の低迷」(40.7%)、「中国経済の悪化」(35.2%)、「米国経済の悪化」(28.6%)、「所得の減少」(25.7%)の順。「東京五輪・パラリンピックの延期・中止」が25.2%で6位、「インバウンド(訪日外国人)需要の縮小」が19.8%で8位にそれぞれランクされている=表。
逆に、20年度の業績見通しを上振れさせる材料(複数回答)は、「感染症の収束」が43.3%とトップ。「個人消費の回復」(34.8%)が2位だった。新型コロナウイルス感染症と個人消費の動向が20年度の企業業績を左右すると認識されている。
調査は3月17~31日、全国企業2万3676社に実施。このうち1万1330社から有効回答を得た。