クボタが玄米ペースト事業で挑む 米文化と水田風景の維持 再興

  • 2021年9月27日

 農業機械メーカーのクボタ(大阪市浪速区)の関連会社、熊本玄米研究所(熊本県菊陽町)は、新規需要米の出口戦略の一環として2014年から「玄米ペースト事業」を開始し、同研究所が運営する商店「玄氣堂(GENKIDO)」で商品販売を行っている。食生活が変化する中で米需要が減り、それに伴い全国各地で水田が減少するなど、米と水田を取り巻く環境は大きく変容している。玄米ペースト事業を通して日本の米文化、さらには観光資源にもなっている各地の水田風景を維持、再興しようとする同研究所の取り組みを紹介する。

 農水省は8月25日、2020年度の食料自給率がカロリーベースで過去最低の37.17%になったと発表し、国産で多くを賄える米の消費減退をその要因の一つに挙げている。総務省の「家計調査」(2人以上世帯)によると、11年に一般家庭の食料品への支出額で初めてパンが米を上回った。この背景に、水田の耕作放棄地が増加しその面積は約20万ヘクタールに至り、約百万トンもの米が放棄されているともいわれる、水田を取り巻く厳しい現実がある。

 熊本玄米研究所は水田の積極的な活用を目指し、玄米ペーストに着目した。米粉や玄米粉を扱った商品が一時期推奨されたが、これらは高温で炊いた後に粉にするため、物性が変化し、米本来のうま味が失われていた。同事業では、玄米を炊かずにそのままペーストにすることで、うま味に加え、玄米が持つミネラルやビタミンなども保持したままでの商品展開を可能にした。同所は玄米をペーストにし、パンやパスタに加工、「おいしくて健康に良い」商品を実現した。実際の商品は玄氣堂大津店(熊本県大津町)で販売され、他の物販イベントなどにも出品され、好評を得ている。世界的なスポーツ大会に提供した際には、小麦を使用しないグルテンフリーしか口にしない選手も玄米本来のうま味に満足だったそうだ。

 農業関係の専門紙「農村ニュース」を発行する国際農業社の金子眞紀子社長は「米の生産はもちろん、水をたたえるダムとしての機能、そして人の心を癒やす美しい景観を形づくるなど、水田が果たす役割は大きく、多岐にわたる」と話す。田園風景と、そこで生産されるおいしい米が重要な資源となっている観光地は多い。現状、旅館・ホテルは白米の提供が多いが、近年の健康志向の高まりを受け、玄米や玄米ペーストを生かした料理提供が誘客の糸口となり得る宿泊施設は多いかもしれない。自然を生かしたアクティビティやグランピングなど、屋外で体を動かすタイプの商品造成がコロナ下で活況を呈しているが、玄米を生かした食事提供で体を内側から整える宿泊プランにも新規需要開拓の余地がありそうだ。


玄氣堂で販売されているパン。さまざまなタイプの商品が並ぶ


玄米ペースト製品を用いた料理。パスタ(上)とフィットチーネ(下)

 
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