日本政策金融公庫はこのほど、ホテル・旅館など生活衛生関係営業のキャッシュレス決済の対応に関する調査を行った。「キャッシュレス決済に対応している」企業割合はホテル・旅館業で83.6%。ただ、電子マネーなど全ての手段に対応しているホテル・旅館は12.4%にとどまった。キャッシュレス決済を導入、拡充する理由は「利用客からの需要がある」、導入しない理由は「決済手数料等の経費負担の増加」が最も多かった。
クレジットカード(デビットカードを含む)、電子マネー、スマートフォンのアプリ決済のいずれかに対応している企業、または複数の決済手段に対応している企業を「キャッシュレス決済に対応している企業」と定義。生活衛生関係営業(9業種)全体では40.9%と半数以下だが、ホテル・旅館業は8割超と、業種別で最も多かった。以下は映画館46.4%、飲食業45.4%、美容業42.5%など。
キャッシュレス決済に対応しているホテル・旅館業の具体的な対応状況は、「クレジットカードのみ対応」が52.3%と約半数。2位の「クレジットカード、スマートフォンのアプリ決済に対応」(18.3%)を大きく上回った。「クレジットカード、電子マネー、スマートフォンのアプリ決済の全てに対応」は12.4%と1割台にとどまり、全業種計の10.7%と大きな差がなかった。
消費税率改定に伴い、キャッシュレス決済を利用する消費者への還元事業が行われる。これを踏まえてキャッシュレス決済を導入するかどうかの問いでは、ホテル・旅館で「さらに拡充」が31.1%、「新たに導入」が12.6%だった。このほか「既に導入しており、拡充はしない」が37.2%、「対応しておらず、消費税増税を契機に導入する予定もない」が19.1%。
ホテル・旅館がキャッシュレス決済を導入、拡充する理由は(複数回答)、「利用客からの需要がある」が82.5%と多かった。以下は「新規客の開拓が見込める」(43.8%)、「売り上げの増加が見込める」(33.8%)など。
一方、ホテル・旅館がキャッシュレス決済を導入しない理由は(同)、「決済手数料等の経費負担の増加」が67.6%、「新たな機器の導入に抵抗がある」が52.9%と過半数を占めた。
調査は6月中旬、生活衛生関係営業3290企業に実施。このうちホテル・旅館業は183企業が回答した。