エアビーアンドビーは、建築家・隈研吾氏が案内する1日限定のAirbnb「体験」ツアーを実施した。
今回の隈研吾氏とのコラボレーションは、2020年に向けて、隈氏がAirbnbの「全ての旅行者に“居場所”を提供したい」という思いに共感いただいたことで実現しました。本体験ツアーには、アメリカ人1名、日本人4名の計5名のゲストが参加。20代~60代までの幅広い年齢層のゲストが集まり、なかには、大学でデザインを学ぶ方や自身で住宅専門の設計事務所を運営している方など、バラエティに富んだ5名のゲストが参加しました。
体験ツアー当日、隈氏は、隈研吾建築都市設計事務所へゲストを迎え入れたのち、重要な打ち合わせを行う際に使用するというミーティングルームにて、隈氏が幼少期に影響を受けた国立代々木競技場や今まで設計してきた建築について語りました。隈氏は、「国立代々木競技場を設計した丹下氏の建築は20世紀型で当時モダンであったとしながらも、自然を大事にした設計で、芝生などの土の使い方によってさらに建築物が美しく見える」とし、自身が設計している新国立競技場の誕生については、「学生の頃からよくこの辺でテニスをしたり、スポーツジムに通ったりと、自分の時代を過ごしたとても馴染みの深い場所。昔から緑を大事にしてきたこの土地で、森との調和を重要視した設計にした」と話し、普段は聞けない裏話にゲストは興味深そうに耳を傾けていました。さらに、ゲストは、事務所内にある模型を作成する部屋や、隈氏がこれまでにインスピレーションを受けた素材が並んだスペースなどを見学。滅多に見る機会がない場所だけに、ゲストらは目を輝かせながら見入っていました。
その後、現在建設中の新国立競技場に場所を移し、周辺を散策しながら、隈氏は建設の過程や設計にあたってのこだわりのポイントなどについて、「47都道府県からの木材をそれぞれの場所の方位でわかるように使用している。下から見上げても木が見えるような設計になっていて、2020年の大会では、競技を見ていなくても無料で歩ける遊歩道や、小川などを庭に作る予定。風の流れも重要視しており、夏には風通りが良くなるよう、上から下に南風が流れるように、冬は保温を考え、下から上に北風が抜けるような設計になっている」とゲストに語りました。
体験ツアーの最後には、隈氏が手掛けた南青山のサニーヒルズにて、お茶とパイナップルのお菓子を食べながら、ゲストは隈氏とのティータイムを堪能しました。和やかな雰囲気の中、ゲストからは、「木組みとはどういう構造になっているのか?」や「なぜひのきの木材を使用しているのか?」など、直接隈氏に伺ってみたかった質問が飛び交い、隈氏からは「地獄組と呼ばれる木の組み方になっていて、昔、障子などの補強として使われていた、布を編むような組み方を活用し、それを三次元に展開している」、「木材によってそれぞれ強度が違い、サニーヒルズでは岐阜県の木材を使用している」などの回答や、「実は1番こだわっているのは女性トイレ。なぜこだわったのかと言えば、サニーヒルズのお客様は8割が女性で、女性は丁寧に、特別な扱いをした方が喜ぶでしょう?」などの笑い話で盛り上がりをみせました。
ゲストをお見送りする際には、建築的な要素を取り入れた隈氏デザインのつみきをサイン入りでプレゼント。思いがけない隈氏からのサプライズに、ゲストらは感嘆の声をあげていました。こうして、1日限定の体験ツアーは、終始和やかな雰囲気の中、幕を閉じました。
<体験ツアー参加者のコメント(※一部を抜粋)>
「隈研吾さんの事務所でお聞きした、新国立競技場の設計の根底にある隈さんのパーソナルな建築体験(代々木競技場)のお話が大変興味深かったです。建築をデザインした方のお話を聞きながら空間を体験できたというのはとても有意義だったと思います」
「世界的な建築家、隈研吾さんと2時間を共有できる。その素晴らしさに尽きます。まさに、ここでしか出来ない体験でした」
「2時間の間、予想していた以上に隈さんとお話できる機会があり、直接隈さんに聞いてみたかった様々なことを聞くことができました。また、隈さん直々に普段は非公開の事務所の中や、新国立競技場を案内していただいて、隈さんの普段のお仕事の様子や、新国立競技場にかける思いや、工夫されている点などのお話を聞くことができて、まさに唯一無二の体験でした」