
2030年6000万人「達成可能性への言及難しい」
2021年の訪日外国人旅行者数は年間約25万人にとどまった。長期化するコロナ禍を受けて、訪日観光の需要は「蒸発」したままの状態が続いている。観光庁の和田浩一長官は1月19日の会見で、インバウンドの重要性は変わらないと強調して、訪日再開に備えた環境整備などに注力する考えを示した。ただ、国内外の感染状況が見通せないことから、訪日外国人旅行者数の政府目標、30年に6千万人については、「達成の可能性を現時点でコメントするのは難しい」と述べた。
30年に訪日外国人旅行者を6千万人とする目標は、政府が16年3月に決定した中長期構想「明日の日本を支える観光ビジョン」の中で打ち出された。観光ビジョンに掲げた施策の推進などで、19年には過去最高の3188万人を記録したが、コロナ禍で急減し、20年は412万人にとどまっていた。
和田長官は、30年6千万人の目標達成について、「オミクロン株の影響で水際措置が強化され、外国人の新規入国が原則禁止されるなど、現状において中長期的なインバウンドの動向を見通すことは難しい状況になっている」と説明し、達成の可能性についての見解は示さなかった。
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