訪日中国人旅行者の個人観光ビザ解禁へ


 政府は、中国人の訪日について個人観光査証(ビザ)を7月から発給する方針を明らかにした。個人年収25万元(日本円換算で約350万円)以上の富裕層を対象とする。1年間は試行期間として北京、上海、広州の居住者に限定するが、その後には全土に拡大する。世界的な景気後退で訪日外国人旅行者が減少する中、消費意欲の高い中国人富裕層の誘致拡大が期待される。

 観光庁、外務省、法務省、警察庁の4省庁が基本合意し、3月24日、中国に対する観光ビザのあり方を検討してきた自民党の観光特別委員会(七条明委員長)に説明した。

 個人観光ビザを取得した旅行者には、旅行会社の添乗員を同行する必要はなくなる。昨年3月から発給している家族観光ビザでは2〜3人のグループでありながら、団体観光ビザと同様に日本、中国双方の添乗員の同行が義務づけられ、旅行の自由度や費用設定の足かせとなっていた。

 ただ、個人観光でも中国側の旅行会社などがビザの申請を行い、日本側の旅行会社が身元の引き受けを行う制度は維持する。失踪者が発生した場合のペナルティも厳しくする。日本側の旅行会社のペナルティは、失踪者1人に付き家族観光では1点だったが、個人観光では3点。失踪者を2人出せば1カ月間の取扱停止となる。ペナルティは団体観光で科せられる分とは別に計算する。

 制度運用の詳細は今後詰めるが、旅行者の年収の確認は預金証明の提出など複数の方法を検討中。日本側の旅行会社による入出国の確認は、送迎サービスなどを通じて行うことが想定される。

 個人観光ビザの導入について、観光庁の本保芳明長官は、3月25日の定例会見で、「インバウンドが大きく落ち込んでいる時期にインパクトのある手立てを講じることができた。富裕層は景気後退の影響が少なく、旅行消費による経済的な効果も大きい」と述べ、「旅行会社には市場の掘り起こしを早期に進めてもらいたい」と期待した。

 観光庁では個人観光ビザの導入を加味して、2009年の訪日中国人旅行者数を前年比約14万人増の114万人、2010年には125万人を見込んでいる。  中国に対する観光ビザは、2000年9月に団体観光ビザの発給がスタート、05年7月には発給対象地域を全土に拡大した。昨年3月から運用している家族観光ビザは、個人観光ビザの導入とともに北京、上海、広州では廃止するが、その他の地域では個人観光ビザが全土に拡大するまでの期間は継続する。

「観光庁らしい 仕事ができた」
 観光庁の本保長官は3月25日の定例会見で、中国に対する個人観光ビザの導入に関して、「自民党観光特別委のプロジェクトチームに取り組んでいただいたほか、観光庁が設置されたこともあって関係省庁の前向きな協力を得られた。観光庁らしい仕事ができたと思う」と述べた。

 
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