まず3県に割引支援 GoTo再開は環境整わず 観光庁 蒲生長官


観光庁の蒲生長官

 Go Toトラベル事業の停止が長引く中、国土交通省、観光庁が打ち出した都道府県の「県民割」などに対する観光事業支援について、14県から支援措置を求める申請があり、このうち岩手、秋田、高知の3県に補助金の交付が決定した。観光庁の蒲生篤実長官が4月23日の会見で明らかにした。この他に申請前の16県が支援限度額などを問い合わせてきており、活用を検討中。他方でGo Toトラベル事業については、全国の感染状況を踏まえて再開の見通しが立たないが、制度設計の検討は続いている。

 

■県民割支援

 県民割への支援は、都道府県の感染状況がステージⅡ相当以下であることが要件。居住地と同一都道府県内での旅行について国が都道府県に補助金を交付する。宿泊旅行や日帰り旅行の割引、土産店や飲食店などで使えるクーポン配布の費用を支援。割引の率や上限額など一定の要件はあるが、制度設計は都道府県に任せる。国の支援総額は約3300億円。

 蒲生長官は「県民割のような事業が26道県で実施されていると承知している。過去を含めて多くの県で実施されたが、予算の問題があってなかなか続かず、年度末で事業が終わるところも多かったようだ。多くの知事から県独自の観光需要喚起策を支援してほしいとの要望があったことを踏まえ、国として財政支援していく」と説明した。

 蒲生長官の会見後、政府が3度目となる新型コロナウイルス感染症に対する緊急事態宣言を4都府県に発令することを決定。宣言発令を受けて、5月末までの予定だった国による県民割支援の期間を12月末まで延長することが発表された。

 

■Go To再開

 Go Toトラベルについては、昨年末以降、全国で事業を停止中。再開について蒲生長官は、「全国的な移動を前提としている事業なので、まだ環境が整っていない。Go Toトラベルが皆さんの旅行の楽しみになり、観光関連事業者に裨益(ひえき)する時期が早く来るよう期待したい。ワクチン接種の普及などで環境が変わってくると思うが、それまでの間、観光事業者をいかに支援するかが課題だ」と述べた。

 観光庁は、Go Toトラベル事業の再開に向けて制度運用の検討は進めている。都道府県への県民割支援事業と並行してGo Toトラベル事業を実施するかどうかについては、「仮にそれぞれに事業が動く形になっても、元はともに国費であり、一つの旅行に対して両方で支援することはできない。県民割事業とGo Toトラベル事業をどう進めるかは今後の課題だ」(蒲生長官)。

 

■制度設計

 Go Toトラベルの再開に向けては、事業の終了後を見据えて旅行・宿泊需要への反動を抑えるため、段階的に割引率を引き下げる措置などが検討されている。「Go Toトラベルの開始時には、旅行マインドが冷え込む中で破格の割引率が必要だったが、出口をどうすべきかは部内で議論している」(蒲生長官)。

 需要期を避けて平日などに割引の対象を限定する案に対しては、「もともと需要のある期間に支援を行うことにはいろいろな意見がある。事業者からも、需要が少ない季節に支援してほしいとの声も出ている。生産性の観点を含めて、旅行需要の平準化は検討課題と認識している」(同)。

 Go Toトラベルの利用者をPCR検査の陰性者やワクチン接種者に限定する案に対しては、「一般論として旅行需要の回復には、安全、安心な環境が必要。PCR検査の義務付けが可能かなどについて検討はしているが、検査能力などを勘案し、実際に取り入れられるかには課題がある。ワクチンに関しては、接種率の現状を考えると、議論するには少し早いが、引き続き状況を注視していきたい」(同)。

 

観光庁の蒲生長官

 
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