どうなる日本版DMO 観光庁検討会、機能分担や施策の在り方議論

  • 2019年2月20日

 観光庁の有識者会議「世界水準のDMOのあり方に関する検討会」の第5回会合が6日に開かれた。テーマは、DMO全体のレベルアップと、「世界水準のDMO」の在り方。広域連携DMO、地域連携DMO、地域DMOの階層別に求められる機能、日本政府観光局(JNTO)や自治体を含めた役割分担、「世界水準のDMO」に関する施策の方向性などについて議論した。

海外情報発信は禁止に?

 観光庁は、議論を促すための「イメージ」「たたき台」として、DMOに求められる主な機能と、JNTO、自治体を含めた機能分担を図表で提示した=表。観光資源の磨き上げ、商品づくり、受け入れ環境整備などを指す「来訪者の満足度向上に向けた取り組み」と、「情報発信」の優先順位や役割分担の在り方などが議論を呼んだ。

 著書「新・観光立国論」など観光政策への提言活動で知られるデービッド・アトキンソン氏は「今のままでは訪日外国人旅行消費額の政府目標、20年8兆円、30年15兆円は達成できない。DMOが果たすべき役割は、地域に眠っている資源を商品に仕上げること。当面5年は国の補助金を使いながら観光地の着地整備をするべき。基礎的なインフラもできていないのに外国人を呼ぶことは非現実的」と述べた。

 さらにアトキンソン氏は、DMOなどの海外への情報発信には、外国語のレベルなど内容が未熟だったり、ターゲットに届いていなかったりと無駄な事例も多いと指摘。「DMOに関しては、情報発信は原則禁止にしてもよい。英語もできず、外国人のことも分からないのに海外に情報発信できるとは思えない」と述べ、当面、インバウンドの情報発信はJNTOに任せて、DMOは観光商品づくりや受け入れ環境整備に注力すべきと提案した。

 これに対して近畿大学経営学部教授の高橋一夫氏は「DMOがコンテンツの充実に取り組むことには賛成だが、機能分担を『マーケティング』と『情報発信』に分けて、『情報発信』はJNTOだけが『◎』で、広域連携DMOが『○』、地域連携DMOと地域DMOが『△』というのは納得できない。海外への情報発信に取り組むDMOの中には、効果を上げているところもある」と異論を唱えた。

 両者の意見を踏まえて、体験観光の情報・予約サイトなどの運営会社、アソビュー代表取締役の山野智久氏は「取り組むべきことは、組織の成熟度、人材の成熟度に応じて変わってくる。立ち上げの初年度なのか、5年後なのか、時間軸を整理して考える必要がある」と指摘。役割分担については「重複があると非効率的なので、それぞれの組織の役割を明確にすべき。ただ、組織の実態として20%ぐらいは“あそび”の部分があってよい」と述べた。

「世界水準」って何だろう

 政府は、DMOのレベルアップの先に「世界水準のDMO」(先駆的インバウンド型DMO)の形成を目指している。ただ、「世界水準のDMO」に求める技術的基準や選定手法など国の制度設計は未定で、検討会の議論のテーマになっている。

 DMO推進機構代表理事の大社充氏は「DMOは国の財源だけで活動しているわけではない。国としてのアプローチは、例えば、予算の付け方などの誘導型のコントロールになる。DMOの形成はここまで官主導で進められてきたが、民のプロフェッショナルの人材が計画を作り、そこに任せていく構図に変えないと今までと何も変わらない。国が官民連携の在り方を明確に定義するのはよくない。地域によって状況は異なり、今後も官と民の役割は変わっていく」と指摘した。

 立教大学観光学部特任教授、公益財団法人日本交通公社上席客員研究員の梅川智也氏は「『世界水準のDMO』とは何かを考える必要がある。単に外国人を誘致するということではないだろう。国が詳細な基準を提示する方法が本当に良いのかどうか。むしろ地方から提案してもらい、ふさわしいものを承認する方向でもよいのではないか。世界水準のDMOに期待されるのは、資源の保護と利用のバランスをうまく取り、経済的な循環を生み出し、持続性を確保していくこと。仮に海外から来る客が少なくても、世界水準のDMOに認定することがあってもよい」と述べた。 【向野悟】

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