観光分野の人材育成を通して「観光立県かながわ」の実現を目指そうと、かながわ観光大学推進協議会は10日、「かながわ観光大学シンポジウム」をかながわ県民センターで開いた。県内の自治体、高等教育機関、宿泊施設、観光施設、旅行会社などから約140人が参加した。うち約20人は大学生だった。
今年度事業の「かながわ移動観光大学」の報告、パネルディスカッション「観光立県かながわの展望」などを行った。
移動観光大学は文教大学が湘南地区、松蔭大学が厚木地区、横浜商科大学が箱根地区で開催。10、11月中の2日間、地域住民や旅館・ホテルなどの観光事業者、学生らを対象に座学、パネルディスカッション、現地視察を行った。それぞれの開講テーマは「自然と人を磨く観光まちづくりから発信へ」「食による観光まちづくり」「宿泊産業のイノベーションと観光まちづくり」。各大学の教員に加えて、地元の観光事業者、観光協会、商工会議所、またコンサルタントらが講師を務めた。
パネルディスカッションでは、羽田耕治・横浜商科大学教授を司会役に、李宏道・ローズホテル横浜社長、布留川信行・横浜八景島社長、村上政司・箱根町観光協会専務理事、西牧秀夫・国交省関東運輸局企画観光部計画調整官兼航空調整官が登壇。これからの観光業界に期待する人材像などについて語った。
県内大学の観光系学部・学科からどんな人材を採用したいかの問いかけ対しては、「語学力と笑顔に秀でた人」(李社長)、「仕事への強い思いを持っている人。目的意識を持って大学時代を過ごし、何らかの体験、経験を積んでいる人」(布留川社長)、「好奇心豊かで、感性に優れ、人が好きな人。ITスキルがあるとさらに良い」(村上専務)などと話した。
同協議会は、観光系の学部・学科を持つ神奈川県内の3大学、文教大学(茅ヶ崎市)、松蔭大学(厚木市)、横浜商科大学(横浜市)と神奈川県が昨年3月に協定を締結して発足。同4月、東海大学(平塚市)もオブザーバーとして参加した。今年4月からは4大学と神奈川県で活動する。
パネルディスカッションの模様(左から羽田、李、布留川、村上、西牧の各氏)