いちご 執行役副社長兼COO 石原 実氏に聞く

  • 2022年6月28日

石原氏

持続可能な街づくり戦略

横須賀で食体験のハブ施設開業 夜の充実で宿泊、訪日の拠点化

 ――いちごについて。

 「サステナブルインフラ企業として、現存不動産を壊さずに長寿命化し、新たな価値創造をすること、太陽光や風力などのクリーンエネルギー創出に取り組んでいる。築年経過したビルを壊して建て直すことは、材料の製造や運搬、解体した材料の廃棄など、多くのエネルギーが消費される。建物を長寿命化し、賃料収入が上がるよう改修する。これらの取り組みを『心築(しんちく)』と名付け、主要事業としている」

 ――そのような中、観光関連事業では何を。

 「保有不動産の4分の1はホテルである。グループ会社には、ホテル運営のプロ集団として博多ホテルズがあり、当社保有ホテルを中心に展開している。また、AIレベニューマネジメントシステム『PROPERA(プロペラ)』を自社開発。観光業では、旅館・ホテルに対し、合理化、効率化で支援している。このほか、農業支援のためのオープンマーケットを運営。宮崎では宮交シティで『みやざきサンクスマーケット』、千葉では『松戸南部市場』を運営し、農業を通じた観光誘客、フードエクスペリエンスの提供を行っている」

 ――今秋には、神奈川・横須賀の「よこすかポートマーケット」のリニューアルの運営を始める。

 「倉庫だった場所に横須賀市が2013年から地産地消の館を設けていたが、リニューアルが必要となった。われわれは、不動産を蘇らせてきたほか、農業の支援や観光業の経験を持ち、ノウハウが生かせる好機として手を挙げた。長期ビジョン『いちご2030』では、サステナブルインフラ企業として、不動産が持続可能になるような街づくりへの貢献を目標としている。マーケットが、地域の農業、商業、飲食、観光業、交通機関の拠点となることが、横須賀市の発展につながる。地域の結束力は固い。地域に密着した1次産業と3次産業のサービス業を結び付けることで、観光客を中心に年間数百万人を集められる。農家が農業を継続できること、新しく横須賀で事業を始めて定住することも可能にする施設としたい」

 ――収益化に向けては。

 「ITを使った事務の効率化や、インターネットを駆使したフードエクスペリエンスによる魅力の発信、Z世代など若者を巻き込んだコミュニティづくりなどを行う。従来は不動産を保有するビジネスを展開してきたが、今回は長期の賃借契約を結んでいる。初期投資が少なく、リターンも相応に見込めるビジネスへのシフトの契機にしたい」

 ――同マーケットでは何を展開するのか。

 「フードエクスペリエンスとして、食にまつわる体験を提供する。食材を提供するまでのプロセス、食べ方の演出も一つ。生き物、食への感謝を自然な形ですることは大事であり、1次産業に携わる人への尊敬や、実収入につながる」

 ――その他の工夫は。

 「改修工事を経て、海に開かれた施設となる。海が見えるテラスやオープンキッチン、イベントスペースが設けられ、さまざまな形で横須賀の野菜、肉、海鮮などが楽しめる。現在は、地域の事業者と共に、訪れる人がワクワクする仕掛けを多数検討している」

 ――一方、課題は。

 「隣の鎌倉を含め、横須賀も90%以上の観光客が日帰りだ。また、お客さまの8割が神奈川県内という特徴もある。大消費地の東京が隣にあり、経済効果を出すためにも、宿泊を兼ねた観光需要の獲得は必須だ。昼は鎌倉での寺社仏閣観光や、横須賀での猿島航路などクルーズ観光を楽しみ、夜はマーケットでバーベキューなどナイトライフを楽しむことで1泊は十分に楽しめる。他にも三浦半島や周辺地域には見どころは多い。横須賀市は、マーケットを観光拠点として考え、観光客数増を目標としているが、実現は十分に可能だ」

 ――道の駅との違いは。

 「道の駅はお土産屋、野菜売り場が中心。マーケットはフードエクスペリエンスの場であり、物販より飲食が多い場となる。また、国際色が豊かであったり、1次産業との相関性があったりする。目標の立て方も異なり、民間ベースだからこそのセレクトされた店の出展、キャッシュレス、eコマースも素早く展開する」

 ――中長期での展開は。

 「米軍基地が近くにあり、横須賀ではドルが使える。ナイトマーケットとしての充実でインバウンドでの夜の拠点となり、国際色豊かなマーケットとなる。また、すでに取り扱っている宮崎の食材を、横須賀や、東京のホテルなどで販売できれば、宮崎にとって新たな大消費地を生むことにつながる。夢は広がる一方だ」

 ――最後に一言を。

 「観光は、われわれの心を豊かにしてくれる。観光と農業をうまく結び付けることで成功の道が生まれる。当社は地域創生と観光、農業、スポーツや芸術、教育を不動産でつなぎ、社会課題を解決する企業でありたい」

いしはら・みのる=07年入社。グループ管理業務全般の統括や地方商業・ホテル案件など地方創生案件を指揮。11年に執行役副社長就任。15年からCOOを兼任。21年からサステナブルインフラ事業を管掌し、「ひとが人らしくつながる場」の創出を目指し、スポーツや農業、商業施設などを通じた社会課題解決、事業化に取り組む。

【聞き手・長木利通】

 

 
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