
今号では、前回に引き続きホテル旅館業界のITやWEBに関する予測について述べたいと思う。前号同様に多分に主観が入った内容ではあるが、ご容赦いただきたい。
まずは何といっても「AI」である。「ChatGPT」が出た際にブームのように話題になり、その後しっかりと追えているであろうか? 「ChatGPT」の最新モデル「o1(オーワン)」や「Google ?Gemini」などぜひ、触れて試してみてほしい。驚くべき性能となっており、知識量では人間を超えているのは疑いようがない。
今後は、あらゆる産業のあらゆる場面でAIが活用されてゆくであろう。観光業界でも「AIがその旅館の質問に全て回答するチャットボット」は浸透しつつある。また、今後はAIレベニューマネジメントやAIシフト管理、AI発注(食材、備品)などもAIの得意分野なので、開発と浸透が進んでいくであろう。
次のキーワードは「自動化」である。こちらもAIが活躍するジャンルであるが、例えば現在、急速に進んでいるのが「電話の自動化」である。電話のファーストコンタクトが自動ガイダンスというのは宅急便などを含めてスタンダードになりつつあるが、ホテル旅館業でも人手不足解消の一環として導入が進んでいる。ここにAIが加わると、今はまだナビダイヤル形式の自動音声ガイダンスが、AIと自然会話しながら進んでいくことになるであろう。事実、海外ではそのようなサービスも登場している。
最後に「データ化」についてである。いまさらデータ化?と思われたかもしれないが、観光業界はまだまだデータ化が甘い業界だと感じられる。そのエリアにどのようなリードタイムで、どのような国やエリアや属性の人が予約をしているのか?といったことがデータ化されていないため、「冬は地元が多い気がする」といった感覚論で論じられることが多い。ここは観光庁も着目しており、補助金を使ってエリアのデータ化を推進してマーケティングに活用することを推進している。
人手不足と相まって、これらのテクノロジーを活用することは今後必須となるので、まずはぜひとも情報を入手して触れてみてほしいと思う。
(株式会社アビリブ・株式会社プライムコンセプト 内藤英賢)
(観光経済新聞2025年1月27日号連載コラム)