
「今年の宿泊業界はクーポン元年になる」と唱える人もいる。国内の大手OTAがクーポン機能を拡充し、それに伴いクーポンを発行する施設が増えているためである。そこで今回はクーポンについて基本的な部分について述べておきたいと思う。
クーポンは広義ではいろいろな意味があるが、ここでは「一定の条件の元で利用できる割引券」と定義したい。つまるところ割引になるので、使用には注意も必要である。宿泊業界において有効となるクーポンの使い方は「稼働率アップのために使うこと」と「高単価商品に誘導するために使うこと」、この2点であると考えられる。
まず稼働率アップのために使うことであるが、こちらはWEBの特性上「お客さまは複数の施設を比較検討している」という観点からみると、お客さまが同じような価格や内容で迷っている際にクーポン発行している。
施設を選択されるということは十分に考えられるので、成約率が上がる可能性がある。この場合の注意点は通常販売をしていて満室化する日においても、クーポンの設定をしてしまうと、結果として宿泊単価を下げてしまう点であるので、乱用は要注意である。
2点目の高単価商品に誘導するために使うことであるが、これは高単価プランや一定の高額予約単価のみに使えるように条件制限をしておけば、通常プランや格安プランで予約をしようとしていたお客さまがクーポンを利用して、高単価プランで予約をすることで結果、宿泊単価が上がる可能性が生まれるのである。これはふるさと割クーポンの時に顕著に見られた傾向である。
このようにクーポンはうまく活用すれば、稼働率を上げたり、宿泊単価を上げたりすることが可能となる。また、OTAのみならず、ホームページにおいてもクーポン機能を実装するパターンが出てきており、今後は増えることも予想される。
WEB実務を担当する者にとっては、業務負担が増えることになるが、それだけに他施設との差別化要素ともなり得るポイントにもなるので、ぜひ、自施設にとって業績が上がる仕組みはどういうクーポンなのかを研究して試行錯誤を繰り返してみてほしい。
(アビリティコンサルタント・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)