
前号では2018年の振り返りを行ったが、今号では、これからのホテル旅館業界について述べたいと思う。例年どおり多分に主観が入った内容ではあるが、ご容赦いただきたい。キーワードはいろいろあるが、「地域間格差」「統廃合」「予約経路の多様化」「人手不足」という四つを取り上げたい。
まずは「地域間格差」であるが、何度か取り上げているので詳細は割愛したいが、国内外問わず、旅行者に選ばれる地域、選ばれない地域という地域間格差が一層拡大すると想定される。各地域はそのことを強く意識しないと取り残される危険性があるので、地域の魅力について今一度再考する必要があると思われる。
続いて「統廃合」であるが、これはチェーン化と読み替えてもよいが、経営体力、手腕のある施設が他の施設を吸収し、多店舗展開を図っていくという流れが進んでいくと想定される。その段階で、事業継続性の観点から吸収されずに廃業していく施設も出てくることが予想される。
「予約経路の多様化」については、今までは直販(電話&HP)、OTA、リアルエージェントにほぼ集約されていたが、これからはメタサーチやSNSからの予約流入なども増えると想定されるので、新たな経路についても注意が必要である。
また、eコマースでは浸透しつつある、ライブコマースなども宿泊業界に影響を及ぼす可能性もあるので注目が必要である。
最後の「人手不足」については、近年の一番の課題であるが、こちらは解消のめどは立っていない。4月より施行される「改正出入国管理法」など新たな動きが出つつあるものの、一朝一夕で解決する問題ではないのは周知のとおりである。しかしながら、自施設の求人の見直しや売り手市場ということを念頭に置いた採用戦略を採っているかと自問自答すると、多くの施設がそうでないように思う。
例年どおり少し辛口の観点からの私見であるが、備えあれば憂いなしと心得ていただき、引き続き激動の時代の中で力強い一歩を踏み出していただければ幸いである。
(アビリティコンサルタント・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)