【VOICE】23年を飛躍の年に 公益財団法人日本交通公社 主任研究員 吉澤清良氏


吉澤氏

観光振興は地域の「総力戦」 真摯に取り組むことが肝要

 新型コロナウイルス感染症の第8波が不安視される中、3年ぶりとなる行動制限のない年末年始を迎えて、各地で久しぶりのにぎわいが見られた。かつてのように人々が国内外を自由に行き来できるときが早晩やってくる。しかし、それはコロナ禍前と同じ環境に戻るというわけではない。感染予防対策の定着、ワクチン接種の広がり、免疫の獲得などの複合的な効果によって致死率は低下し、世界はコロナと共存していくことになるのだろう。2023年、観光振興もポスト・ウィズコロナに向けて「新たなステージ」に入ったといえる。

 コロナ禍を経験して、国民の間には、安心・安全や健康、自然志向、環境問題、サステナブルなどへの関心の高まりが盛んに言われている。しかし、今はまださまざまな変化が生じているタイミングでもある。観光の多様化、複雑化が進む中、観光地にはこれまで以上に高度な経営力が求められるようになってきた。こうした状況下にあって、観光関係者はどのような観光活動を展開していくべきなのか。

 今、当財団は「観光研究の多様化・高度化に柔軟かつ果敢に挑戦する、わが国の観光分野における代表的な研究者集団」を目指して各種の取り組みを強化している。その一環として、22年4月には沖縄事務所を開設し、現場での研究、調査を通じて沖縄観光の復興と持続可能な観光の発展、人と知見のプラットフォームづくりに取り組んでいる。また、公益社団法人京都市観光協会に研究員を派遣するなど、地域とのつながりを強めている。

 近年、国の地域振興策の一つとして「知と人材の集積拠点」である大学などを核とした産学・地域連携へ期待が高まっている。観光振興においても、大学などには多様な関係者との効果的な連携のもと地域に根ざした観光教育の実践と人材の輩出、また地域協働による社会貢献が待望されている。23年度、当財団は大学などとの連携をより一層強化していく予定である。

 観光振興は、しばしば地域の「総力戦」だといわれる。23年の干支は「癸卯(みずのとう)」。卯年は何かを開始するのに縁起がよく、希望があふれ、景気回復、好転するよい年になるとのこと。旅行市場が活気を取り戻しつつある中、23年を飛躍の年とするためにも、観光関係者は改めて足元を見つめ直し、何のために、何を目指して観光振興に取り組むのかを議論し、観光地づくりに真摯(しんし)に取り組んでいくことが求められるのではないか。

 
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